国内 2022.10.22
立正大、陣内主将が明かす、1部で善戦できている強さとは。

立正大、陣内主将が明かす、1部で善戦できている強さとは。

[ 編集部 ]
スクラムの練習では、細かい動きもチェック(撮影:長岡洋幸)

――今年のチームスローガンは「主体性」。
陣内 昨年度もチームスローガンは「主体性」だったんですけど、昨年の4年生が主体性を発揮してくれたおかげで、チームとして主体性を発揮していこうという雰囲気に、それが1部昇格につながったと思います。今年もその主体性という部分は引き継いでいこうと。ただ、去年はまだまだリーダーを中心に一部の人しか主体性を発揮できていなかったので、今年はもっとより多くの人間がしっかり主体性を持ってチームに貢献していこうということになりました。
――具体的にはどんなことをやった?
陣内 昨年はリーダーが中心になって「ノーポイズントーク」というのをやりました。チームにとって悪影響になる言葉を発しないというもので、練習中に「しんどい」「苦しい」という言葉を発しないし、そういう表情を見せない。そして今年はもっといろいろな場面で主体性を持って生活しようということで、食事の改善にも取り組みました。昨年度までは食事は全員でミーティングルームで摂っていましたが、コロナの感染症対策で食事の時間を分けたりしていました。そうするとトレーニング後、食事まで時間が空いてしまう人も出てきて、栄養摂取など体づくりにも影響が出てくるのでは、という声が挙がりました。そこで自分のフロアーや自分の部屋で食べるようにしたらより早く栄養を吸収できるんじゃないか、と選手主体で考えてスタッフにプレゼンテーションして実行しました。また、オフシーズンにはFWであればラインアウト、BKであればまた別の課題があって、その課題をメインに合宿前の3週間は学生がメニューを考えて、練習でそれを実践する。その中でその日のテーマを明確にしてチームにアウトプットしていくということを実行してきました。


――試合の振り返りは、いつやる?
陣内 試合から帰ってきて当日か、翌日1日オフを挟んだ週始めになります。
――試合前におこなう“リーダープレゼン”とはどういうもの?
陣内 チームの文化として、以前から根付いているもので、特に意識してやるようになったのは去年からです。試合前日か当日に、まず試合までにテーマとしてやってきたことをFWとBKで分かれてトークをして、その後、チームとして試合で何をするのかをリーダーがキーワードを明確にしてメンバー23人で共有します。それを試合前にすることで、試合の中でよりキーワードを意識してブレずに戦うことができるようになります。ミーティングの時にすぐにキーワードが出てくるのは、前回の試合でどんな課題があったのかというのをみんなが認識をしていて、その課題を解決するための練習をしようというのことを日頃から取り組んでいるからだと思います。その週やってきたのは何だというのが、みんなの口からすぐにキーワードとして出てきます。


――今年になって、寮生活で何か変化は?
陣内 毎朝、ごみ捨てをするのが決まっているんですけど、分別のチェックをリーダーではない4年生がおこなったりしています。例年より寮もきれいになっているんじゃないかと(笑)。掃除の時間は朝10分くらい取っているだけなので、ある程度きれいなのは、適当な生活をしていないからなのかなと思っています。
――4年生に寮の仕事割り振りがあるそうだが。
陣内 今年度から採り入れました。掃除係、ホペイロ(用具係)、点呼係、備品管理係、食事係。特に活躍しているのが食事係で、昨年度までは味や量で問題があったのですが、食事係が外部に発注してくれたり、量を増やす交渉をしてくれたり。朝食は学食で食べるので、寮で食べるのは昼と夜の2回です。
――運動選手にとって食事は大事なこと。
陣内 新チームがスタートしたばかり頃、まだ体が小さいという課題が出て、希望する人には部で何か提供すればいいんじゃないかという話になりました。そして100円払ったらサラダチキンと玉子1個、プロテイン1杯を支給してもらえるというシステムを作りました。本来、100円では赤字ですが、なぜ成立するのかというと、体を大きくしたいという気持ちであったり、そういう努力に対して部として還元しますよ、というシステムです。それもスタッフが考えたのではなく、学生の方で考えてスタッフにプレゼンテーションして採用されたので、主体性がものすごく垣間見れた部分だと思います。


――キャプテンになった経緯は?
陣内 シーズンが終わってから監督に呼ばれて、「何の話か分かるか?」と言われて、僕自身、薄々感じていたので、「どうする?」と聞かれて「やります」って答えました。
――その時の気持ちは?
陣内 就任したときというよりは、2部から1部に上った入替戦のノーサイドの笛が鳴った瞬間から、僕の中では「来年は1部で戦うんだ。もう2部には帰って来れない」という責任というか、覚悟はありました。その中で、せっかく1部でチャレンジできるんだから大学選手権を目指そう、というのは僕の中で一つあって、キャプテンに就任した際に各学年とミーティングをして、まず4年生で大学選手権を目指すということを決めて、それを下級生に話したらみんなが賛同してくれて、チームとして大学選手権を目指そうということになりました。
――混戦のリーグ戦、後半戦を戦っていく上でのポイントは?
陣内 立正の軸を徹底するというのが間違いなく一つだと思うんですが、その中でリロードあったり、相手より早いセットであったり、そういった細かい部分がキーポイントになってくるんじゃないかと思います。

【第4節までの結果】
立正大33‐44日大
立正大21‐47東海大
立正大36‐12関東学大
立正大41‐35大東大

Profile
じんのうち・みなと/162センチ・92キロ/フッカー/2001年2月10日生まれ、東大阪市出身/石切中-尾道高。高校2年、3年で花園出場。

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