ワールドカップ 2022.10.13

強力FW擁する女子アメリカ代表 日本戦のカギはセットピースとレッドゾーンの激しいバトル

[ 編集部 ]
強力FW擁する女子アメリカ代表 日本戦のカギはセットピースとレッドゾーンの激しいバトル
W杯開幕節・イタリア戦の立ち上がりはよかった女子アメリカ代表(Photo: Getty Images)


 ニュージーランドで開催中のラグビーワールドカップ(第9回女子大会)で黒星発進となった世界ランキング6位の女子アメリカ代表は、10月15日にファンガレイでおこなわれる女子日本代表(世界ランク13位)との第2戦へ向け、先発メンバーを7人替えてきた。

 強力FWを擁し、第1戦ではスクラムで何度も女子イタリア代表(世界ランク5位)を圧倒した。序盤に先制トライを挙げ、テリトリーやボールの支配率でも上回った。しかし、イタリアの粘り強いディフェンスに苦労し、ラインアウトが不安定だったことも響き、結局、10-22で敗れた。

 1991年から始まった女子ラグビーワールドカップの初代王者で、準優勝2回、前回大会も4強入りしているアメリカ女子“イーグルス”にとっては不本意なスタートとなり、まずは準々決勝進出へ向けて、日本戦は必勝を期する。

攻守ともに運動量豊富でキープレーヤーとなるPRホープ・ロジャース(Photo: Getty Images)

 ロブ・ケイン ヘッドコーチと主将のケイト・ザッカリーは初戦後、改善点について意見を交わし、ラインアウトの一貫性と、アタックで敵陣22メートルライン内に入ってからのフィニッシュが次戦へ向けての重要なポイントとした。両サイドのWTBはスピードがあり、中央ではコンタクトの強さを活かし、イタリア戦では何度かチャンスをつくったが、なかなか得点につながらなかった。
 力強いボールキャリアーであるNO8のザッカリー主将は、「勢いを生み出し、それを維持したい。失敗から学び成長することが最も重要なことだ」と述べ、日本戦ではチャンスを押し切ってトライを重ねることを目指す。
 日本は辛抱強いディフェンスが持ち味であり、ゴール前では激しい攻防が繰り広げられるに違いない。
 逆に、日本もゴールに迫ってからFWのピック&ゴーでトライを獲る力があり、“レッドゾーン”のバトルは見どころだ。

 キープレーヤーは、1番で先発するホープ・ロジャース。これまで38キャップを重ね、ワールドカップ出場は3大会目となった経験豊富なプロップだ。女子日本代表の3番をつける加藤幸子とはエクセター・チーフス(イングランド)で一緒にプレーしていた仲間で、スクラム対決は注目となる。ロジャースはイタリア戦で19回のタックルをするなど、運動量の多い選手としても知られる。

 バックラインでは、かつてサッカーやアイスホッケーでも活躍したスーパーアスリートで、7人制ラグビーでオリンピック2大会に出場したアレヴ・ケルター(日本戦12番で先発)などが危険なランナーだ。

速さと強さを兼ね備えるアレヴ・ケルター。イングランドのサラセンズ所属(Photo: Getty Images)

 日本も黒星発進で勝利を狙っており、アメリカは、桜のエンブレムをつけた勇敢なフィフティーンを侮ってはいない。
 ケイン ヘッドコーチは、「日本は強い決意で挑んでくるだろう。私たちは決して日本を過小評価していない。日本は、攻守の切り替え、ブレイクダウンの周辺、そして攻撃のスピードで、どれほど脅威的であるかを示してきた」と警戒する。

 2戦目へ向けての準備は順調に進んでいるというアメリカ。日本にとって、次の相手も難敵であることは間違いない。

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