女子 2022.09.23

『テトリス』のような堅守で最強黒衣軍止めたい。女子日本代表の佐藤優奈、歴史的一戦へ集中。

[ 編集部 ]
『テトリス』のような堅守で最強黒衣軍止めたい。女子日本代表の佐藤優奈、歴史的一戦へ集中。
試合前日の練習後、オンラインインタビューに応じた佐藤優奈


 約4万7000枚のチケットは完売。9月24日のイーデンパークは、ラグビーニュージーランド代表のダブルヘッダーが組まれており、メインイベントは同国男子代表“オールブラックス”が南半球4か国対抗戦の優勝をかけて戦うオーストラリア代表“ワラビーズ”とのライバル対決だが、その前におこなわれる女子の試合も注目の一戦であり、多くの人が観戦するに違いない。
 2週間後に開幕するワールドカップへ向けての最後のテストマッチとして、女子ニュージーランド代表“ブラックファーンズ”女子日本代表“サクラフィフティーン”が初めて対戦する。

「スタジアムに入ったときに、『ここでできるんだ』というすごく嬉しい気持ちと、ワクワクする気持ちでいっぱいでした」
 ロックで先発する予定の佐藤優奈(東京山九フェニックス)は、ラグビーの聖地とも言われるイーデンパークで前日練習を終えたあと、素直な感想を述べた。でも、喜びやワクワクを楽しむのは今日まで。気持ちを切り替え、試合に集中する。
「明日はいつも通り、いつものテストマッチと思って臨みたい」

 サクラフィフティーンは今年、敵地に乗り込んで当時世界ランキング5位だったオーストラリア代表から金星を奪い、夏の国内テストシリーズではヨーロッパの強豪であるアイルランド代表を破った。しかし、ブラックファーンズはレベルが違う。ワールドカップでは最多5回の優勝を誇るディフェンディングチャンピオンで、初の自国開催大会で連覇を狙う世界最強クラスのチームだ。
 過去一度もイーデンパークで負けたことがなく、ホームでは32戦30勝というブラックファーンズを倒すのはかなりタフな仕事となるが、確実に成長を続けているサクラフィフティーンがどこまで通用するか注目される。

 佐藤も、ビッグチャレンジになることはわかっている。
「ブラックファーンズはアタックが得意なチームだと思うので、私たちはディフェンスで80分間やりきる気持ちで臨む。横とのコネクションを意識しながらディフェンスにフォーカスしたいです」
 合言葉は『テトリス』。落ち物パズルの元祖とも言われる人気ゲームから堅守をイメージする。
「テトリスのように、バラバラじゃなくてしっかりコネクションを保ってやっていこうと。みんなそれを意識して、イメージしやすくなったかなと思います」
 すき間なくカバーし、堅いディフェンスを貫きたい。相手は、ラックから持ち出して走ってくることが多いという分析も出ているので、ラックサイドは特に警戒が必要だ。

 サクラフィフティーンの先発FW(フォワード)8人のサイズは、平均、身長165.5センチ、体重75.3キロ。対するブラックファーンズの先発FW平均は174.3センチ、89.5キロで、パックの合計体重差は114キロもある。このデータからは、サクラフィフティーンはスクラムとラインアウトで苦戦が予想される。

 夏のテストシリーズではラインアウトのミスが多かったため、修正に取り組んできた成果を出したい。その空中戦では、身長170センチの佐藤らがカギを握る。
「細かいミスを減らすように意識し、動き出しなども工夫してきました。今回は自分たちのペースで、相手を惑わせられるようにコントロールできたらいいなと思っています」

 歴史的な初挑戦は、10月8日に開幕するワールドカップへ向けての貴重なテストマッチである。
 ワールドカップ初参加となる24歳の佐藤はあらためて意気込みを語った。
「ブラックファーンズ戦で自分たちがどこまで通用するか、しっかり感じて、見つかった課題はワールドカップまでに修正する。そして、ワールドカップでは一試合一試合集中して、少しでも上に上がれるようにチームみんなで頑張りたいです」


▼女子日本代表 試合登録メンバー
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