「空白の6年」。オールブラックスがクライストチャーチの地で好調アルゼンチンを迎え撃つ
南アフリカ遠征を1勝1敗でなんとか乗り越えたニュージーランド代表 、オールブラックズがホームでアルゼンチンを迎えて2試合行う。
1戦目は、8月27日にクライストチャーチのオレンジセオリー・スタジアムでの開催。クライストチャーチでのオールブラックスのテストマッチの開催は、2016年の南アフリカ戦(41-13でオールブラックスの勝利)以来だ。
カンタベリアン(カンタベリー地区の人のニックネーム)は6年間もの間、地元でオールブラックスの試合を見ていないのだ。
当然チケットはすぐに完売となるかと思われた。しかし、2万人弱の収容数にもかかわらず、チケットの売れ行きが宜しくない。
真相は分からないが、少なくとも現オールブラックスのイアン・フォスターヘッドコーチ(以下、HC)が続投となった影響があるかもしれない。
依然としてフォスターHCへのメディアのプレッシャーはあるものの、今週から新しくコーチングスタッフに加入した元アイルランド代表HCのジョー・シュミットに注目が集まっている。
早速キャンプでも身振り手振りで選手たちとコミュニケーションを取り積極的に活動している。選手たちもシュミットのコーチングに手応えを感じているようだ。
シュミットは、今季スーパーラグビーのブルーズにスタッフとして加わり、速いテンポの展開を作り上げ、攻撃力をあげることに成功して結果を出している。
オールブラックスの持ち味である速いテンポのラグビーを進化させるためには、もってこいの人材だ。
最近加入したばかりのジェイソン・ライアンFWコーチはラインアウト、モールディフェンスに絶大な影響を与えて効果を出している。
シュミットのアタックコーチとしての効果も楽しみだ。
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▼ ペロフェタが待望のデビュー & 若いフロントローの台頭
対アルゼンチンの初戦のメンバーを見ると、南アフリカ戦に勝利した2戦目の試合とほぼ同じとなった。
唯一の変更は、ボーデン・バレットがチームトレーニング中の首の怪我で欠場。それにより、SO、FBのバックアップとしてスティーヴン・ペロフェタが初のメンバー入りとなった。
ペロフェタは、今季ブルーズで主にFBで素晴らしいパフォーマンスをした。ボーデン・バレットが欠場した試合では10番のポジションに入り、そこでも能力の高さを披露している。その活躍が認められて今年初のスコッド入りを果たした。
アイルランドの3試合、南アフリカの2試合では一度もメンバー入りできなかったが、ようやくチャンスを与えられた。
先週末のNPC(州代表選手権)の試合にタラナキの選手として出場したペロフェタは、スーパーラグビーのレギュラークラスがずらりと並ぶカンタベリー相手に素晴らしいパフォーマンスで勝利に貢献。
試合から長く離れていたものの、スーパーラグビーからの好調を維持している。ペロフェタのデビューを見るのが楽しみである。
フロントローも注目される。
南アフリカ戦の2戦目に続きにイーサン・デ・グルート、タイレル・ロマックス、フレッチャー・ニューウェルと若いフロントローを入れてきた。
これまでレギュラーとして長年スクラムを支えてきたネポ・ラウララ、オファ・トゥンガファシのケガが治ってもスコッドに戻さず、今週も再びNPCで調整させているのも興味深い。
南アフリカ戦での若手3人のパフォーマンスを評価したということだろう。近年オールブラックスが世界で苦戦していたポジションだけに、若手の成長は来年のワールドカップに向けて明るい材料となる。
その中でも南アフリカ戦でデビューしたニューウェルに目が行く。
今年スーパーラグビーにデビューしたばかりも、ケガ人の補強でスコッドに呼ばれ、いきなり世界の大舞台に立った。スクラムだけでなく、走れるプロップとしてボールキャリーでも良いものを持っている。
デビュー戦は突然の事で、父親が急遽、南アフリカに飛んで試合を観戦したエピソードもある。今度は地元クライストチャーチが舞台だ。家族に勇姿を見せることができることを喜んでいるようだ。
復活に向けてステップアップしたいオールブラックスだが、相手は、先日ワラビーズ相手に31点差をつけて圧勝をしているアルゼンチンだけに簡単には勝たせてもらえないだろう。
南アフリカと同様にハイボールのコンテストのレベルが高く、オールブラックスは警戒しているようだ。今季クルセイダーズでプレーしたパブロ・マテーラが、アルゼンチン代表に新たなスパイスを加えていると思われるので不気味だ。
6年ぶりのクライストチャーチでのテストマッチは、フォスターHCにとっては、さらなるプレッシャーとなりそうだが、激しいバトルが予想されるFW戦、そしてハイボールの処理が勝負のカギとなるだろう。
試合当日までにはチケットが完売してフルハウスでの試合になる事を願う。
◆オールブラックスのメンバー はコチラ(All Blacks Twitterより)