国内 2022.08.26

夏の苦悩。明大の齊藤誉哉副将は「最後までグラウンドに立ち続けられるように」

[ 向 風見也 ]
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夏の苦悩。明大の齊藤誉哉副将は「最後までグラウンドに立ち続けられるように」
夏合宿の練習試合でプレーする明大の齊藤誉哉(撮影:福島宏治)


 残されたリーダーは悩んだ。明大ラグビー部4年で副将の齊藤誉哉は、福島で合宿中の8月上旬にピンチに直面する。複数の部員が体調不良で離脱し、部の雰囲気が変わったという。

「福島でイレギュラーなことが起きて、練習も全員ができない状況で、モチベーション的にあまり…」

 続く菅平合宿の3日目となる同月21日。天理大との練習試合を12-12で引き分けた。その日は、石田吉平主将ら多くの主力格が欠場していた。連携不足が目立った。

 齊藤は、どうにか前向きに総括した。

「不安も、ありました。ただ、そのなかでも皆、100パーセントでやってくれた。助かっています」

 有事に直面し、相談した相手がいる。昨季の副将だった大石康太だ。チームの雰囲気をよくするには、仲間のモチベーションを高めるにはどうしたらいいか。現状を伝えたうえで、社会に出たOBに助言を仰いだ。

 前年度のリーダーのほか、その影響力を再認識した存在には現主将も挙げられる。

 7人制日本代表として昨夏の東京オリンピックに出た石田も、しばらく練習に出られなかった1人のようだ。石田は、不在だったことでかえって価値を示したのではないか。齊藤はそう見る。

「吉平がいれば、チームの雰囲気が変わる。選手としてもいいランナーですし、主将としても皆を姿勢で引っ張る。全てを100パーセントでやる。行動で見せてくれる。そういう奴がきつく言ってくれたら、皆、自分もやらなきゃという気持ちになると思います」

 仲間の凄みを再確認し、自らを励ます齊藤は、身長180センチ、体重91キロの21歳。群馬の桐生第一高でチーム史上初の全国大会出場を決めた頃は、司令塔のSOとして大胆なプレー選択とランをアピールしてきた。高校日本代表候補に名を連ねた。

 全国の俊英が集まる明大でも、初年度から1軍争いに絡んだ。ただレギュラー定着には至らず、「満足しているかと言われれば、満足していない。チャンスは与えてもらっているんですが…」。いまは、チャンスメーカー役のCTBで定位置確保に近づく。

 9月以降に本格化するラストシーズン。頼れる船頭とともに、悔いなく過ごしたい。

「最後までグラウンドに立ち続けられるような選手になりたい。僕が吉平と一緒にチームを引っ張れるように、頑張っていきたいです」

 卒業後は国内リーグワンのクラブでプレーする見込みだ。

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