夏の明大対天理大。12-12の意味と背景は。
2018年度の大学選手権で王座を争った明大と天理大が8月21日、長野・菅平高原での練習試合を12-12と引き分けた。
明大は8月上旬の福島合宿終了までに、体調不良者を出した。いまはほとんどの選手が復調済みも、この日のゲームに出られるメンバーを集めるのに苦労した。
3年生の為房慶次朗は、負担の大きな右PRにあって異例のフル出場を果たすことになる。ベンチに本職の選手がいないなか、接戦を強いられたためだ。
「一応、交代はあると聞いたんですけど、こういう(引き締まった)展開だったので」
不揃いな陣容は、連携不足を招いた。展開、スクラムからの球出しでミスを連発した。2年生FBの安田昂平は言う。
「流れに乗れないまま進んでいってしまった。病人が出たり、メンバーがいつもと違ったり、試合会場がいつもと違ったり、(雨で芝が)ぬかるんでいたり。そういう慣れない環境で勝ち切れないのは、よくないことです。コミュニケーションで改善したいです」
安田自身は緩急自在のフットワークで光ったが、後半13分、「自分のボールセキュリティのミス」。鋭いカウンターアタックのさなか、死角から追っ手に捕まれて落球していた。
かたや天理大は、序盤から防御で魅する。明大が先制する前半23分を前後し、鋭い出足でのダブルタックルを重ねる。攻めては前半終了間際、敵陣22メートル線付近左のラインアウトからテンポよく展開。明大のタックラーの反則を誘う。
まもなく敵陣ゴール前右のラインアウトからモールを組み、インゴールを割った。5-5。
ハーフタイム明けには一時勝ち越しに成功した天理大は、12-12で迎えた最終局面にも加点のチャンスを迎えた。
ただ、ここでは度重なるエラーで足踏み。攻守で仕掛け続けた3年生SOの福本優斗はこうだ。
「FWが頑張ってくれてセットプレーが安定していたので、もっとBKが前に出られればよかったです。もっと、FWとBKの連携ができれば」
両軍とも、今後の検討課題を顕在化。秋以降のシーズン本格化に向け、価値ある80分を過ごしたとも取れる。