日本代表 2022.07.08

ツインタワーの一角は「規律」が進化。サナイラ・ワクァへ期待高まる。

[ 向 風見也 ]
ツインタワーの一角は「規律」が進化。サナイラ・ワクァへ期待高まる。
試合前日のキャプテンズランで最終調整する日本代表のサナイラ・ワクァ(撮影:松本かおり)


 ラグビー日本代表史上初の出来事だ。空中戦の軸となるLOのスターターに、身長2メートルのメンバーが並ぶ。

 身長201センチ、体重117キロのワーナー・ディアンズに、身長202センチ、体重120キロのサナイラ・ワクァである。

 7月9日、東京・国立競技場。世界ランクで7つ上回るフランス代表にぶつかる。
  
 日本代表のLOでは、2019年のワールドカップ日本大会に出たヴィンピー・ファンデルヴァルトが上腕二頭筋を負傷したようだ。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの説明によると、母国の南アフリカに戻ることとなった。

 ここで白羽の矢が立ったのが、計4キャップというフレッシュな2人である。

 対するフランス代表の先発LOは、身長197センチ、体重114キロのチボー・フラマンに身長203センチ、体重127キロのトマ・ジョルメスだ。上空のボールを競り合うラインアウトで、日本代表は制空権を握れるだろうか。

 ボールを投げ入れるHOの坂手淳史主将は、「ゲームを優位に進められるひとつの手段になる」。ディアンズはこうだ。

「相手のFWは身長が高いし、身体は大きいし、パワーがある。ただ、フィジカル、空中戦は負けていない感じがしました。(ラインアウトでは)僕たちの高い身長を活かしてやっていくんですけど、高さだけじゃなく、スピードの部分でも勝てるようにします」

 日本の流通経済大学付属柏高校を出た20歳のディアンズは、昨秋、日本代表デビュー。かたやフィジー出身で26歳のワクァは、今年6月に初めて日本代表合宿に参加した。6月25日に初めてテストマッチに出るよりも前に、現体制下の日々についてこう語っている。

「スケジュールがタイト。1日3回も練習がある! 次の日へリカバリーをしっかりすることが私にとっての挑戦です」

 ニュージーランドのヘイスティングスボーイズ高校、ホークスベイを経て2017年に来日。現・NECグリーンロケッツ東葛から20年に移った花園近鉄ライナーズでは、「規律、コンディショニング、準備の部分がよくなった」と進化を実感できた。

 ただし今度の日本代表選出へは、「まさか入れるとは思ってもみなかった。この機会を嬉しく思います」と驚いていた。

「この機会をもらったこと、この旅路が始まったことに嬉しい気持ちです」

 長い手足で防御をいなし、多彩なオフロードパスを放つのが特徴的。今度のフランス代表戦でも、タフな衝突に競り勝ちながら持ち味を示したい。

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