日本代表 2022.06.09

トンガ・サムライXVの試合登録メンバー25人決定。エマージング・ブロッサムズと「これぞラグビー」の80分を

[ 編集部 ]
トンガ・サムライXVの試合登録メンバー25人決定。エマージング・ブロッサムズと「これぞラグビー」の80分を
チームを率いるシナリ・ラトゥ監督。(©JRFU)
唯一の大学生、大体大2年のシオネ・マウ。(©JRFU)



 日本代表キャップ保持者は、2019年ワールドカップを経験したPR中島イシレリ、SOレメキ ロマノ ラヴァの2人を含め4人。
 リーグワンで活躍した選手も多く、強力なメンバーでエマージング・ブロッサムズと戦う。

 6月9日午前、同11日におこなわれる「ジャパンラグビーチャリティーマッチ2022」に挑む「TONGA SAMURAI XV」(トンガ・サムライXV)のメンバーが発表された。
 チームを率いるシナリ・ラトゥ監督は、「勝つ試合をやる。そのために合宿をしてきた」と話す。

 同チームは高知でキャンプを張り、試合への準備を進めてきた。選手たちの動きを見てきたラトゥ監督は、「全員、気合が入っている」と言う。
 なかでも、中島イシレリやNO8ナエアタ ルイは日本代表へアピールしたい気持ちも強い様子。指揮官も「そうなるように頑張ってほしい」と期待を込めた。

「ベテランと若手がミックスされたいいメンバーになった」と言う登録の25人。ラトゥ監督は、「我々も楽しみ。お客さんも、こういうチームを見るのは初めてだと思います。楽しんで」と話した。

 大学生で唯一メンバーに入ったシオネ・マウについて同監督は、「高知キャンプでは最初緊張していたが、グラウンドに入れば、先輩、後輩は関係ないぞ、とアドバイスしました。だいぶ慣れたようです。もともとバックローの選手ですが、HOとして鍛えていけば日本代表も狙えるのではないか、と思います」と潜在能力の高さを評価した。

 マウはこの試合への参加打診があったとき、両親から「レベルが高い試合。危ないから、やめておいたら」と言われたという。
 しかし、「学ぶことが多いはず」と、自ら出場を決めた。キャンプ地の高知は、高知中央高校時代に過ごした思い出の地。多くの人たちの期待を受けて、ベンチからピッチに飛び出す。

 ラトゥ監督らチーム首脳陣は、キャンプがおこなわれている間、今回集まった選手たちに、何度も昔の話をした。
 まだ誰も扉を開けていない時期に日本にやって来て、大東大でそろばんを習い、ラグビーでも地位を築いたノフォムリ・タウモエフォラウ氏が団長を務めている。

 ノフォムリ団長に当時のことを話してもらったり、同団長の一歩目がなければ現在のトンガと日本のラグビーの絆はなかったことなどを伝えた。
 ラトゥ監督自身、「何度も(トンガへ)帰ろうと思ったが、ノフォムリさんの存在があったから頑張れた」と語る。自身がトンガ代表を経験した頃のことも話した。

 今年1月の海底火山大噴火によってトンガ王国は大きな被害を受け、ラトゥ監督はその直後から、チャリティマッチを実施できないかな、と考えた。

 ただ、日本国内はリーグワンが開幕したばかりの時期だった。また、リーグでの戦いが終われば代表活動が控え、その日程も詰まっている。実現は難しいかな…と思ったこともあった。
 さらにプロ選手たちには、エージェントもいて、第三者が間に入る。環境整備には苦労したそうだ。

「しかし、日本ラグビー協会と話し合いを重ねて、協力していただき、なんとか試合ができることになりました。本当に嬉しいこと」
 両国の関係の深さをあらためて感じた数か月だった。

 そういう背景もあるから、今回着るジャージーには、思いを伝えるため、「感謝」の文字をローマ字で入れた。
 試合前には、特別な『シピタウ』(ハカ=戦いの前の舞い)もおこなう。「見てもらえば、感謝の気持ちが伝わるものです」と話す。

「やるときはやる。試合が終わったら友だち。あらためて、そんな試合になると思います」
 闘志、友情と感謝の気持ちが濃密に絡み合う80分となりそうだ。

<TONGA SAMURAI XV 試合登録メンバー>
1.中島イシレリ(コベルコ神戸スティーラーズ)
2.アルファネスタ・マヒナ(花園近鉄ライナーズ)
3.シラ・プアフィシ(花園近鉄ライナーズ)
4.タラウ・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)
5.エセイ・ハアンガナ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
6.ヴィリアミ・アフ・カイポウリ(三重ホンダヒート)
7.バツベイ シオネ(主将/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
8.ナエアタ ルイ(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)
9.岡 新之助タフォキタウ(スクラムヒューマンパワー)
10.レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)
11.トロケ マイケル(宗像サニックスブルース)
12.パエア ミフィポセチ(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)
13.タウモエぺアウ・シリベヌシ(豊田自動織機シャトルズ愛知)
14.ラトゥ クルーガー(三菱重工相模原ダイナボアーズ)
15.ラリー・スルンガ(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)

〔リザーブ〕
16.シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)
17.シオネ・マウ(大阪体育大学2年)
18.ラタ・タンギマナ(花園近鉄ライナーズ)
19.アシペリ・モアラ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
20.ツポウ テビタ(花園近鉄ライナーズ)
21.人羅奎太郎(花園近鉄ライナーズ)
22.ハヴィリ リッチー(横浜キヤノンイーグルス)
23.トニシオ・バイフ(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)
24.マノア・ラトゥ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
25.リエキナ ・カウフシ(花園近鉄ライナーズ)

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