国内 2022.05.06

要求は「ぶち当たれ!」。イーグルス新人シオネ・ハラシリ、4戦4トライと爆発。

[ 向 風見也 ]
要求は「ぶち当たれ!」。イーグルス新人シオネ・ハラシリ、4戦4トライと爆発。
イーグルスのシオネ・ハラシリ。4月15日のシャイニングアークス戦で初トライを挙げた(撮影:松本かおり)


 愛称は「ジェイ」。横浜キヤノンイーグルスへ入りたてのシオネ・ハラシリが、リーグワンの終盤戦でインパクトを残している。
 
 出場が解禁された4月以降、第12節からの4試合で4トライをマーク。公式で「身長180センチ、体重120キロ」という体躯で壁を破る。守っては地面の球へ絡み、向こうの反則を誘う。

 1試合あたりの平均出場時間は約16分と短いだけに、かえってインパクトがある。本人は笑顔だ。

「リーグワン、楽しいです」

 いずれもバックロー(FW第3列)としての途中出場だが、直近の第15節へは左PRの控えとしても準備した。母国トンガから来日して目黒学院中、高を経て入った日大でも、スクラムを最前列で組むこの位置へチャレンジしてきたのだ。

 ずっと主戦場としてきたFW第3列のNO8では、自身よりも上背のある選手が好まれるかもしれない…。国際市場をシビアに見立て、冬に合流したイーグルスでスクラムの「テクニック」の習得にいそしむ。

「大学の時は(シンプルに)組むだけでしたけど、リーグワンでは(首尾よく組むために)テクニックがないといけない。いまは、相手よりも速くセットする(姿勢を作る)ことを意識しています。日本代表に入るには、PRをやりたい」

 沢木敬介監督は、デビュー当初こそリーグワンに慣れさせるため「ジェイ」をFW第3列で起用。ただし中長期的には、背番号1を競わせる構えだ。

 着任前の2018年度、チームは前身のトップリーグで16チーム中12位と苦しんでいる。大卒選手の獲得に苦労がついて回りそうななか、沢木監督は自身の母校でもある日大の「ジェイ」をかねて注目していた。

「(サイズが)小さいから、他のチームからは声がかからないかも…とは思ったんです。ただ、あれだけリーグでトライを取って、あれだけジャッカルをしている。そんなこと、何かがないとできない。(実際に)ラグビーセンス、ありますよ。トライを取れるところでボールタッチをする嗅覚、みたいな」

 確かに、日大の加盟する関東大学リーグ戦1部で貴重なトライを奪ってきている「ジェイ」。個性を活かし、急上昇中のクラブと縁をつないだ。

 今季は途中まで12チーム中4位と上昇気流に乗るクラブにあって、「先輩も優しいです。チームは雰囲気がファミリーみたい」。クラブが重視する実戦仕様の練習メニューにも、首尾よく対応する。栄養指導によりファストフードを控え、体重はこの数か月で約「3キロ」も減らした。

「日大では練習が1日2回ありましたけど、ここでは1日1回。午後はリカバリーができる。(沢木監督からの要求は)『ぶち当たれ!』って。いつも、アタックのことを言われています」

 最終節を残し、4傑によるプレーオフへ行ける可能性はすでに絶たれている。それでも「ジェイ」は、明るい未来を切り開くためいまの戦いに挑む。

PICK UP