【ラグリパWest】チームの主軸。大沢櫂、ホルス陸人 [石見智翠館高校]
ホルスは178センチ、91キロの体でコンタクトの中心になる。安藤は評する。
「強さがあって快足。仕事をしてくれます」
冬の101回目の全国大会では全2試合に交替出場する。2回戦は大分舞鶴を45−0、3回戦では常翔学園に12−20で競り負けた。
常翔学園戦では5点差の残り6分で起用された。
「決められたことができませんでした」
ラックでのファイトは外側、と示されていたが、焦りもあり、相手の選手も多い中央部分で勝負をかける。反則を取られ、PGを決められた。その反省が心に残る。
この101回大会で智翠館は31年連続31回目の出場とする。最高位の4強進出は95回大会(2015年度)。31−46で桐蔭学園に敗れた。岡山が3年、仁熊秀斗(にぐま・ひでと)が2年生ウイングで出ていた。現在は東京サントリーサンゴリアスに所属する。
ホルスが競技を始めたのは小2から。兵庫県ラグビースクール。大沢は小4から阿倍野ラグビースクールだった。ともに友達に誘われる。「ホルス」という姓は祖母がアメリカ人の祖父と再婚。その姓である。祖母も「4か国くらいの血を受け継いでいるはずです」。
2人が寮生として通う智翠館は島根の江津(ごうつ)にある。東西に長い県の西寄り、山口に近い。目の前には青い日本海が広がり、自然は豊かだ。旧校名は「江の川」(ごうのかわ)。創立は1907年(明治40)。大阪から江津までは最速でも4時間はかかる。
「広島まで新幹線で行って、そこからレンタカーで浜田自動車道に乗るのが一番です」
安藤は以前、説明してくれた。
ホルスは入学の理由を口にする。
「親元を離れて大人になろうと思いました」
出身中学は神戸の鷹匠(たかしょう)。当時は朝に弱かった。ここに来てから、スマホのアラームを3分おきに10回鳴るようにして、その弱点を克服した。体重も入学時から23キロ増。1回の食事で800グラムに指定されている白ごはんを1キロ食べた。
大沢とホルスを軸に挑む選抜大会は2大会連続10回目出場になる。最高位は13回大会(2012年)の準優勝。東福岡に22−24と2点差で惜敗した。昨年の22回大会は8強敗退。東海大仰星に3−14だった。安藤は言う。
「去年の成績を超えたいですね」
連勝すればまず昨年に並ぶ。天理戦は開幕の25日、14時30分に始まる。
この選抜を終えると選手46、女子マネ1の計47人の新入部員がやって来る。部員の総数は109人となり、1990年(平成2)の創部以来、33年目で最多となる。
新入部員たちは大阪から最速4時間の距離や寮生活を知った上で入学を決めた。安藤の努力がうかがい知れる。この4月から指導25年目。好成績でもって、家庭を離れる15歳たちを迎えたい。