“ガルティエ・ブルー”、12年ぶりのグランドスラムを目指しイングランドと最終戦へ。
今週のフランスのラグビーメディアはグランドスラム一色だった。12年ぶりの代表チームの快挙に期待と興奮がどんどん高まっている。これだけの周囲の期待や浮かれた空気の中で目の前の試合に集中するにはかなり強靭な精神力が必要だろう。自国開催のワールドカップで優勝するためには、これも通らねばならぬ道だ。
最終ラウンドのイングランド戦のメンバーが発表された。WTBにプノーが復帰し、ヴィリエールと両翼をなす。またLOタオフィフェヌアも復帰、後半のフィジカル戦に備えてベンチの重厚感が増した。
会見で記者から「グランドスラムを懸けてイングランドと最終ラウンドを戦うのは大会当初からの目標だったのか?」と質問を受け、「包み隠さずに言うと『ウイ(はい)』。まだ1試合残っているし謙虚でなければいけないが、この位置に立つために我々はできることを全ておこなってきた。大会が始まる前からクラブチームのコーチや選手と共に努力してきたのはこの位置に立つため。この位置に立てるかどうかは大会期間外に何をしているかで決まる」とガルティエHCは答えた。
両国の対戦は『クランチ』と呼ばれている。フランス人の選手もファンも「特にイングランド戦は燃える」と言う。最初のクランチは1906年3月にパリでおこなわれ、35-8でイングランドが勝った。試合後、当時のイングランド協会の会長だったジョージ・ローランドヒルが「フランス人が、この複雑なゲームをこんなにうまくするなんて驚いたよ」と皮肉まじりに言ったという。上から目線だ。
その後21年の間に15回の対戦を経て、ようやくフランスはイングランドに初勝利を収めることができた。
1981年のフランスのグランドスラムが懸かったイングランドとの最終戦で、アイルランドの『アイリッシュタイムズ』が『クランチ(決定的な瞬間)』という言葉を初めて使ったと言われている。
クランチを前にメディアも両チームのHC間の前哨戦を好んで報道する。
「フランスとの戦い方については考えがある。ウェールズがうまくやっていた。フランスに勝つにはラック周辺を支配してデュポンを黙らせなくてはならない」とジョーンズHCが発言している。
それに対してガルティエHCは、「対戦相手が我々について何を言っているのか、ちゃんと聴こえているし理解もしている。試合の準備をするのに役立てさせてもらっている。土曜日の試合で答える準備はできている」と返した。
「対戦相手がイングランドというのは、さらなるモチベーションになるか?」との記者からの質問に、「クランチという言葉からいろいろな想像が広がる。イングランド人はラグビーを発明した。競技人口も多い、文化も強くしっかり根付いている。北半球で唯一世界チャンピオンになったことがあるのはイングランドだ。ワールドカップ前回大会で負けはしたがファイナリストになったのはエディー・ジョーンズのイングランドだ。誰がなんと言おうとイングランドは世界のラグビー大国の一つだ。4大国の一つだが、今はフランスもその一つだ」とガルティエHCは笑みを浮かべて答えた。
今年のクランチ、“ガルティエ・ブルー”が制してグランドスラム達成なるか。
■フランス vs イングランド
3月19日(土) 21時キックオフ(日本時間 3月20日 5時キックオフ)
イングランド戦メンバー↓
🇫🇷⚡️🏴 Prêts pour 𝐜𝐞 𝐝𝐞𝐫𝐧𝐢𝐞𝐫 𝐫𝐞𝐧𝐝𝐞𝐳-𝐯𝐨𝐮𝐬 du tournoi avec nos supporters ! 🔥
— France Rugby (@FranceRugby) March 17, 2022
À samedi ! 💪💪 #FRAANG #XVdeFrance #NeFaisonsXV pic.twitter.com/UnaWB2vcvy