海外 2022.03.03

2週遅れのデビュー! モアナ・パシフィカが王者クルセイダーズに挑む

[ 松尾智規 ]
2週遅れのデビュー! モアナ・パシフィカが王者クルセイダーズに挑む
ついにスーパーラグビーデビューを迎えるモアナ・パシフィカ(Photo: Getty Images)


 今季からスーパーラグビーに新しく加わるモアナ・パシフィカは、ニュージーランドのメディアに大きく取り上げられ、注目されている。
 しかし、複数の選手に新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたことにより、2月18日のブルーズとの開幕戦は延期に。デビューはお預けとなった。

 当初の発表では、陽性反応の選手は10人以下と言われていた。
 しかし、その数を明らかにすることはなかったものの、のちに相当数の選手たちが陽性だったとほのめかす。多くの選手がまともにトレーニングをできない状態になっていたようだ。

 ラウンド2には試合実施の見込みとなり、隔離後の調整をしっかりできるように、日程をうしろにずらしてまで開催を試みた。
 しかし、出場可能選手の確保に苦戦しんだ。結局、十分な準備期間とはならないと判断され、選手の安全性を考慮して2週連続の延期となる。その影響を受け、注目度は当初より低くなったように感じられた。

 開幕の2週間前、若手主体のチーフスとのプレシーズンマッチをおこなった。
 その試合には7-61と大敗。内容は良くなかった。その後、隔離期間もあり1か月実戦から離れているとなれば、準備不足は明らかだ。

 過酷な条件を経て、2週間遅れの開幕戦を迎える3月4日。常勝チームで、スーパーラグビー史上最も成功しているクルセイダーズと戦う。初戦から、もっとも厚い壁に立ち向かう。

 マオリ・オールブラックスと2020年に対等に戦った時のメンバーとはほとんど違う選手がスコッドに並ぶ。
 多くはスーパーラグビーの下のレベル、NPC(ニュージーランド国内の地方代表選手権)である程度活躍している選手たちだ。しかし、スーパーラグビーチームとの正契約に届かなかった者たちが大半。その層で他チームと対抗するのは厳しそうだ。

 ピークを過ぎている感は否めないものの、経験豊富な選手も数人いる。
 彼らの存在が若手の育成につながり、才能が開花すればチームは変貌する可能性も秘めている。

◆クルセイダーズ戦のメンバー

 発表されたクルセイダーズ戦のメンバーには、23人中スーパーラグビーデビューとなる選手が11人。経験者も、大半が出場回数は少ない。
 ただ、先発メンバーのフロントローにはスーパーラグビー経験者が並ぶ。スクラムを安定されるかを見極めたい。

 3番のセコぺ・ケプは元オーストラリア代表“ワラビーズ”で100キャップを超すレジェンドだ。初代キャプテンとしてチームを引っ張る。36歳でもまだまだ第一線の力があることを証明できるだろうか。

 先発のLO、FLはスーパーラグビーデビュー選手で構成される。7番のアラマンダ・モトゥンガは、2020年のマオリ・オールブラックス戦にも出場した唯一の選手だ。
 NO8ヘンリー・タイム・スタワーズは、ブランビーズなどでスーパーラグビー経験があり、サモア代表としてもプレー。その突進がクルセイダーズに通用すれば、試合がおもしろくなる。

 バックスに目を移すと、クルセイダーズから移籍のSHエレアタラ・エナリ、日本(NTTドコモ)でプレー経験のあるSOリンカーン・マクラウチのハーフ団が注目になる。
 昨年NPCのホークスベイで良いパフォーマンスを見せた両者のコンビネーションは抜群。このレベルで通用するか興味深い。

 ハリケーンズから移籍のCTBダニー・トアラ、日本(豊田自動織機)でもプレー経験があり、フィジカルが強いCTBリーヴァイ・アウムアがミッドフィールドでコンビを組む。相乗効果で大きな力を出せるなら楽しみだ。
 アウムアは、スーパーラグビーのテンポの速いラグビーについていけるように体重を絞った。

 WTBティマ・ファインガァアヌクとFBウイリアム・ハヴィリの両者はクルセイダーズに兄弟がいる。燃え上がるライバル心もプレーに影響を与えそうだ。

 バックローのジャック・ラム、SOクリスチャン・リアリーファノのベテラン2人を先発でなく、ベンチスタートにしたのも興味深い。後半にインパクトを与えられるか。

 対するクルセイダーズのメンバーは、過去2戦から大幅に変更。若手に出場機会を与えた形だが、それでも強力だ。
 HOコーディー・テイラー、FLイーサン・ブラッカダー、SOリッチー・モウンガと、3人のオールブラックスが戦列に加わり、隙を与えない。

 ニューパワーのチームがどこまでクルセイダーズに通用するか多くの目が集まるも、厳しい80分となることは間違いないだろう。
 スクラム、ラインアウトのセットピースを安定させないと、プレシーズンマッチで大敗した以上の結果になる可能性もある。

◆注目マッチアップ

【セコぺ・ケプ(3番) vs ジョージ・バウアー(1番)】

 元ワラビーズの大ベテランと、昨年オールブラックス入りしたバウアーのスクラム対決。ケプがまだまだ元気なところをアピールするには、最高の相手か。

【エレアタラ・エナリ vs テ・トイロア・タフリオンランギのSH対決】

 古巣のクルセイダーズが相手で気合十分のエナリ。対するは、エナリの抜けた席に入った元オールブラックスのタフリオランギ。
 マオリ同士の対決は、きっと熱い。

★モアナ・パシフィカ vs クルセイダーズ/3月4日(金) 19:05 キックオフ(日本時間15:05)

▼モアナ・パシフィカのメンバー(Twitterより)

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