指揮官は「自分たちにフォーカス」と強調。雪辱晴らすかスピアーズの流儀。
前節は不戦勝。クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、久しぶりの試合で因縁の相手とぶつかる。
2月26日、東京・江戸川区陸上競技場。ホストゲームとして開かれるジャパンラグビーリーグワン・ディビジョン1の第7節に、トヨタヴェルブリッツを迎える。
昨季は前身のトップリーグで16チーム中3位タイ同士だった。ただしスピアーズは、前年度に初めて4強入り。通算9度そのエリアに達したヴェルブリッツには、最後の直接対決で24-25と惜敗している。
全12チーム参加と、より接戦の増加が期待されるディビジョン1において、フラン・ルディケ ヘッドコーチは次戦へこう意気込む。
「ヴェルブリッツは素晴らしいチャレンジさせてくれるチーム。いい選手、コーチがいる状態が何年も続いている。FWも、BKのアタックも、キックゲームも、ディフェンスもいい。バランスがいい。それに対して、我々は自分たちにフォーカスし、プロセス重視でやっていく。自分たちがコントロールすることをコントロールする」
確かに向こうでは、今季からニュージーランド代表経験のあるLOのパトリック・トゥイプロトゥ、南アフリカ代表として2019年の世界最優秀選手に輝いたFLのピーターステフ・デュトイが新加入。日本代表のNO8の姫野和樹共同主将、南アフリカ代表FBのウィリー・ルルーも、各々の持ち場での高質な動きを担保する。
橙色の指揮官は、かような相手の特徴を踏まえながらも「自分たちのプラン」と向き合うよう意識する。
「自分たちのフォーカスポイント、しゃべり、態度をポジティブに持っていく。自分たちのプラン、役割、仕事といった、我々でコントロールできるところにフォーカスして、成長を目指しています。それがエキサイティングさをもたらしています」
休息週前の第5節には不参加も、3勝1敗同士でぶつかった横浜キヤノンイーグルスに50-21で勝っている(神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)。指揮官は「スタジアムにはいませんでしたが、自分だけだった感じは決してしなかった。コーチとも連携を取っていました」と、組織力の高まりを強調していた。
「(事前に)リーダー陣、他のコーチ陣に引き継ぎはできていたので問題なかった。試合はがまんの展開。特に前半(21-14)はタフなバトルでした。そこでハードワークを続けたことで(後半は)勢いを作り、自分たちのやりたいことをやった」
2016年度に就任したルディケのもとでずっと主将を務める立川理道もまた、「クボタの準備しているものは変わらない。オールラウンドなラグビーをしていきたいと思っています」。インサイドCTBとして、SOのバーナード・フォーリーとともに試合を動かす。味方の強みを引き出せるか。
スピアーズは、2019年度から田邉淳アシスタントコーチを招いている。
サンウルブズの攻撃的なスタイルを支えた田邉は、このクラブへもスペースを首尾よく攻略するための技能、戦術を涵養(かんよう)。それと同時に、隊列には肉弾戦の得意なメンバーを揃える。
南アフリカ代表のマルコム・マークスは、最前列のHOにあって地上戦で強さを発揮。身長205センチのLO、ルアン ・ボタは、相手をつかみ上げるチョークタックル、モールの推進で力を示す。
根本思想とメンバーの特徴との兼ね合いについて聞かれれば、立川は「基本的には、大きなFWをどう使うかを考えてはいます」。巨漢たちの頼もしさをよりどころとしながら、適宜、パス、キックを使い分けたい。
「(ラインアウトからの)モール、モールフェイクからの組み立てを、ゲームに応じて(使い分ける)。テンポがよければ皆で動きますし、天候がよくないなかでスローテンポな状況でもうまくゲームをコントロールしようと思います」
ヴェルブリッツ戦での見どころのひとつは、そのFWのぶつかり合い。トゥイプロトゥ、デュトイ、姫野といった隊列に、マークス、ボタらがどう挑むか。
こちらもフィジカルバトルでの奮闘が期待されるファウルア・マキシは、「フィジカルバトルは今回の試合でキーになる」。日本代表でもあるNO8は、世界的選手とのマッチアップを心待ちにする。
「いろんなワールドクラスの選手とやるのは楽しみにしています。そこで負けないように頑張ります。スマートにボールキャリーをして、タックルに行く。(役目は)シンプルです」
チーム一丸となって、各々の仕事を全うする。そんな言うは易く行うは難しのミッションを、本当の意味で実現しようとする。スピアーズのそれが流儀だ。