「学ぶことを止めてはいけない」。トヨタFBウィリー・ルルー、待望の今季初試合
緑の守護神が戻ってきた。
南アフリカ代表としてキャップ70を持つトヨタヴェルブリッツのFBウィリー・ルルー。1月28日のブレイブルーパス東京(以下BL東京)戦で今季初先発すると、安定したキック処理とゲームマネジメントで、チームのリーグワン初勝利(33−23)に貢献した。
「今回、日本に来るまで長かった。戻ってこられてホッとしています」
ルルーが全体練習に合流したのは1月20日。当初は12月初旬に来日する予定だった。
しかし、拡大していたオミクロン株の影響を被った。南アフリカ代表の欧州遠征を終え、同僚ジェシー・クリエル(横浜キヤノンイーグルス)と二人、日本へ向かっている途中だった。日本のルールが変更され、南アフリカからの入国が不可となったのだ。
経由地のアジスアベバ(エチオピア)から南アフリカに戻って2週間の隔離生活。その後は日本への入国が可能なタンザニアに移動し、リーグワンでプレーする他の選手と15日間トレーニングを積んだ。
1月に入国した後は、ホテルと自宅で10日間の隔離。自宅隔離中は、チームが運び入れてくれたエアロバイクやウエイト器具で体を動かした。
「ここまでが長い道のりだったから、試合できるのが楽しみでしかたありません」
BL東京戦前日、オンライン取材の向こうで相好を崩した。
「新しいメンバーが何人もいます。ケンタ(福田)と一緒に試合するのは初めてなので、うまく彼をサポートしていきたい。個人的にはパトリック(トゥイプロトゥ/LO)とピーター(ステフデュトイ/FL)と一緒のチームでできることを光栄に思っています」
デュトイとは南アフリカ代表でもプレー、日本開催の2019年W杯で優勝を飾っている。
「彼は何度もボールキャリーをして80分間動き続ける。絶対、敵にしたくないタイプ。彼と同じチームでよかった(笑)」
実際、BL東京戦でもルルーとデュトイの「ホットライン」で攻撃を仕掛ける場面がしばしば見られた。
安定したキック処理、先を読んだポジショニング、周りを動かす力。ウィリー・ルルーは安定感で現在、世界一のFBだろう。欧州のビッグクラブから声がかかってもおかしくないが、本人は昨年、自身のSNSで早々と契約延長したことを明かした。
「トヨタは大好きなチーム。3年前、W杯が終わってチームに合流した時、家族のように歓迎してくれた。(延長は)迷いませんでした」
チームにとっても影響は小さくない。WTB髙橋汰地、FB中野剛通ら若手BKがルルーの手ほどきを受け、持ち前の能力を開花させている。
「若手選手を助けるように心がけています。グラウンドで気づいたことは話すし、彼らの知りたいことは何でも伝えます。僕自身、彼らから学ぶところがあります」
名手にかかると、どんなパントもやすやすとキャッチしているように見えるが、それは高いスキルに裏打ちされているから。
「才能ではなく、ずっと練習を続けてきた成果です。スキルセットを学ぶことを止めてはいけない。毎週そこは自分の課題として努力しています。練習したことを試合に出せるように」
チームは第4節終了時点で4位。目指すはリーグワン初代王者だ。
「優勝は個人でするものではなく、チームで成し遂げるもの。そのためには50人全員の総力戦。誰かがケガで抜けても、すぐ埋められるようにならなければ」
現在32歳。熟練のゲームコントローラーが、チームの勢いを加速させる。