国内 2022.01.31

代表戦士と競争。ヴェルブリッツの福田健太は、雌伏期間を無駄にしなかった。

[ 向 風見也 ]
代表戦士と競争。ヴェルブリッツの福田健太は、雌伏期間を無駄にしなかった。
トヨタヴェルブリッツの9番をつけ、ブレイブルーパス戦で活躍した福田健太(撮影:松本かおり)


 今季初先発でプレイヤー・オブ・ザ・マッチ。トヨタヴェルブリッツの福田健太は端的に思いをまとめる。

「反省点はあるんですけど、いいパフォーマンスができたことをうれしく思います」

 1月29日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動競技場。リーグワン・ディビジョン1の第4節に挑んだ。ホストの東芝ブレイブルーパス東京を33-23で下す。通算戦績は、不戦勝を含め3勝1敗とした。

 後半26分に魅した。味方HOの加藤竜聖が相手から奪ったボールをもらう。自陣22メートルエリアから向こう側のゴール前まで快走する。最後は対するCTBのセタ・タマニバルのハイタックルを誘い、ペナルティトライを成立させた。この日最後のスコアを刻んだ。

「チームにとって(追加点を生めない)きつい状況が続いていたなか、他のSHにはない足の速さでゴール前まで持っていけた。強みが出せたと思っています」

 終始、接点で圧をかけられたとあり、「クイックテンポのラグビーをしていく部分では、もっとできた部分もあった」と反省を忘れない。

 しかし、攻守にわたって強気を貫けたのも確か。日本代表でNO8の姫野和樹共同主将からも称賛される。ワールドカップで対戦し、手こずった名手を引き合いに出された。

「健太は本当にポテンシャルがある選手。南アフリカ代表のファフ・デクラークのような、いい意味で『うざい選手』になれると思う。チームから期待される若手が活躍することで、他の選手も『やるんだ』となる。相乗効果がある」

 身長173センチ、体重80キロの25歳。茨城・茗渓学園時代から攻撃的なSHとしてその名を馳せ、明大では2018年度の主将として大学日本一を経験した。ヴェルブリッツ入部1年目の終わりころには、当時スーパーラグビーに挑んでいたサンウルブズから招集された。

 昨季のトップリーグでは、1試合のみの出場にとどまった。現役日本代表で共同主将の茂野海人、レフリーと兼任する滑川剛人の影に隠れた。

 しかし、本人はこうだ。

「海人さん、滑川さんのいいところを日々の練習で教えていただいて、この2年間を無駄にせずやってきた」

 意識するのは、戦術遂行と持ち味のアピールとのバランスだ。

「試合に出られないなかでもフィジカル、SHの土台を見失わずに強化できた。また、海人さん、滑川さんを見て、チームのストラクチャーのなかで自分の強みを出すことを学んだ。それで、こうして試合に出られたのかなと」

 今後の展望を問われ、「まずはコロナにかからない。ラグビーをするためにコントロールできることを、コントロールする。ゲームではもう一回、自分たちのパフォーマンスを出す」。先行きの見えない戦いにあって、最善手を打ち続けたい。

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