東京SG 36-33 BR東京。敗れた指揮官が後半38分に感じた「サントリーのDNA」
後半開始早々、自陣深い位置でノックオン。スクラムからフェーズを重ねられ、最後はWTBの成田秀平に左隅を破られた。21―22。
続く後半7分には、自陣中盤左でランナーが転倒。まもなく、相手FLのツイ ヘンドリックにボールをさらわれる。バトンはCTBのサム・ケレビを介し、CTBの森谷圭介に繋がる。まもなく点差を広げるトライが生まれ、直後のコンバージョンをSHの齋藤直人が決めて22-29とした。
入部後初めてゲーム主将を任されていた齋藤は、途中からその役目を譲り受けていた。もともと正キッカーだったSOの田村熙の状態を鑑みてのことだ。
サンゴリアスは前回の試合からメンバーを10名、入れ替えていたが、要所ではケレビ、FLのショーン・マクマーンといった主力のオーストラリア代表経験者が奮闘。自陣ゴール前では威力満点のタックルで粘り、接点へタフに身体を差し込んだ。
大物たちの打つ波に、ブラックラムズは、流されまいとした。
14分、敵陣ゴール前で厳しいタックルを喰らいながらも攻めを継続。防御の揃わなくなった隙を、SOのルーカスが抜け出した。29―26。
「(試合を通し)ボールを動かしていきたかった。相手防御をストレッチさせたい(広げたい)と思っていました。うちの選手がいいラインを走ってくれたことで、いい動きができた」
待望の再逆転を決めたのは、サンゴリアスの再三の反則で敵陣ゴール前に入れたから。その後もペナルティーキックを得るたびにスクラム、ラインアウトを順に選び、勝機を探った。
武井の述懐。
「相手のFWは7人でした。8人で話し合って、それぞれ自信のあるプレーを選択していきました。(最終的にラインアウトを選んだのは)相手の(スクラムでの)プレッシャーもありましたし、フロントロー(最前列)3人で話して、確実にスコアを狙えるのが(ラインアウトからの)モールだと判断したので、切り替えました」
やがて、敵陣ゴール前右のラインアウトからラックを連取。対するケレビが9フェーズ中4本のタックルでゲインラインを押し戻してきたなか、最後はブラックラムズのFL、松橋周平がインゴールへなだれ込んだ。
サンゴリアスが大逆転を果たして逃げ切ったのは、この直後のことだ。ゲームの中盤以降を14人で戦った末、不戦勝を含めて開幕4勝目を決める。
普段は日本語で試合を総括するミルトン・ヘイグ監督は、「きょうは興奮しているので英語で…」と切り出した。
「これまでのコーチングキャリアのなかで一番、いい試合でした」
ブラックラムズのメインは、ヒューワットが受けたのと同じ趣旨の質問に応じる。
80分間を通し、相手の底力を感じた瞬間は。
相手への敬意に、自軍への矜持をにじませて言った。
「相手は14人になってからのファイト、1人をカバーするエフォートは凄い。ただ、それ以外は自分たちも負けてないと思いました」