海外 2022.01.22

【欧州チャンピオンズカップ】明暗分かれ、モンペリエ若手×アイルランド代表(!?)の試合も

[ 福本美由紀 ]
【欧州チャンピオンズカップ】明暗分かれ、モンペリエ若手×アイルランド代表(!?)の試合も
89-7と大差がついたモンペリエ×レンスター。(Getty Images)



 感染拡大の影響が危惧されていたが、1月14日金曜日から英仏間の渡航制限も緩和され、またチーム内で大量に感染者が発生することもなく、欧州チャンピオンズカップ第3ラウンドは無事に全試合行われた。

 しかし、どのチームも怪我やコロナで主力を欠き、アカデミーやエスポワールの若い選手を起用せざるを得ない状況だった。最も厳しい結果になったのがモンペリエだろう。

 モンペリエでは年明けから感染者が20人近くまで増え、前週のトップ14のトゥールーズ戦は延期、1月16日のアイルランドのレンスターに7人のエスポワール(アカデミー)の選手を起用し、その内4人は19歳だった。
 対するレンスターは、ジェームズ・ローや、ジョナサン・セクストン、タイグ・ファーロングなどのアイルランド代表選手が名を連ねる。

 試合開始からワンサイドゲームになり、89-7の歴史的な大差でレンスターの圧勝となった。

「2週間半、少人数でしか練習できなかった。主力選手が陰性になって練習できるようになっても、試合ができる状態に戻るまでに時間がかかる。棄権にならないように手を尽くしたが、後半のBKはエスポワール対アイルランド代表だった。」とフィリップ・サンタンドレ ヘッドコーチ(以下、HC)は鎮痛な表情で述べた。

「唯一良かったのは、また試合ができたこと。早く全員揃って練習できるようになることを願う」とサンタンドレHCは続けた。トップ14で6連勝して勢いに乗っていただけに残念である。

 一方、ボルドーでも昨年のクリスマス前に最初の陽性者が確認されてから20人近くまで感染者が増えた。さらにこの週末のスカーレッツ戦の2日前検査で、スタメンで発表されていたSHマキシム・リュキュと、SOフランソワ・トランデュック、そしてリザーブのSHヤン・レスグルグが陽性になり、急遽メンバーを替えなくてはならなかった。
 腿に軽い痛みを感じていたため控えにしていたSOマチュー・ジャリベールを先発させ、SHにはアルゼンチン代表WTBのサンチャゴ・コルデロを起用した。

「コルデロはスピードもあり1v1に強いからラックサイドで力を発揮するだろう。ボールにくっついて、シンプルに球出しし、マチュー(ジャリベール)にパスすれば上手くいく」とクリストフ・ユリオスHCが試合前に言っていた。
 その通り、コルデロは忙しく動き回り、またチームメイトに助けられ、味方のトライも演出し、コンバージョンも決めて獅子奮迅の働きだった。ボルドーが45-10でスカーレッツに快勝した。

「FWがどんどん前に出てくれたから仕事がしやすかった。SHなんて初めてのことだったから、コーチから言われた時は戸惑ったし、チームに迷惑をかけるのが怖かった。でも、みんなが声をかけてくれたし、上手くいき始めたら、ポジティブな気持ちで集中できた。常にボールを持てるSHの楽しさを満喫できた」と本人もご満悦だ。

 この試合のスター・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは、18歳のフランスU20代表FBルイ・ビエル=ビアレだ。前週のトップ14のブリーヴ戦でプロデビューしたばかりで、この日はハットトリックを達成した。
 ジャリベールが腿の痛みを感じてベンチに退いた後はゴールキックも決めた。夢のようなヨーロッパデビューになった。

「決勝トーナメントに進出するために、ミスが許されない試合だった。チーム全員でしっかりプレーできた。急拵えのメンバー構成だったのに選手はよくやってくれた。」とユリオスHCも満足だ。

 現在トップ14でボルドーは1位、モンペリエは4位。その差は選手層の厚さだと言われているが、ボルドーの方がチーム全員で同じイメージを共有できているように感じる。『優勝』へのイメージだろうか。

 次週ボルドーは、先月ホームで13-16と惜しくも敗れたレスターと敵地で対戦する。
 ジャリベールが肉離れで出場できないことがすでに発表されている。トランデュックが間に合えば良いが、厳しいやりくりが続きそうだ。

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