国内 2021.12.31

ロスタイム18分から1年。東海大大阪仰星の飛び級戦士、薄田周希の決意。

[ 向 風見也 ]
ロスタイム18分から1年。東海大大阪仰星の飛び級戦士、薄田周希の決意。
光泉カトリック戦で攻守にわたり奮闘した東海大大阪仰星の薄田周希(撮影:松村真行)


 第101回全国高校ラグビー大会は12月30日、2回戦を迎え、東大阪市花園ラグビー場の各グラウンドにはシード校が登場した。第100回大会で劇的なゲームをしたあのチームも、第1グラウンドに現れる。

「夢中になってやっていたので、(後半が)48分もあったのか、そんなに長かったんだ、と。もっと(プレーを)やっていたかった気持ちでした。あの試合は、自分自身が成長するためのターニングポイントでした。経験できてよかった」

 薄田周希。東海大大阪仰星の主将が振り返るのは、前回大会の準々決勝だ。30分ハーフで開かれる大会にあって、その日は後半を48分まで戦った。東福岡と21-21でドロー。抽選により4強入りを逃したあの日を経て、薄田はこう考えている。

「2年間を通し、全国大会が厳しい戦いだとわかっている。1点でも上回って勝つ。隙をなくしたいです。(前年度の)先輩から言われてたのは『普段、やっていることしか(試合に)出ない』。接戦では、普段やっているものしか出ない。普段の練習からチャレンジすることを、意識してきました」

 この日は光泉カトリックとの初陣にNO8で先発。自らトライも挙げて48-0で勝利を収める。時折、連係ミスを重ねながらもランナーが軽快に駆け回った一戦を経て、インサイドCTBとして3トライ4ゴールのCTB野中健吾はこうだ。

「全員の意思統一のところでまだまだな部分があったので、そこを次に修正したいです。各個人の持っている判断と、全員の判断(とのずれ)。そこが課題です」

 BK陣には野中をはじめ高校日本代表候補が多く、薄田は「ボールを渡したら(トライを)獲り切ってくれる。そこへの信頼度はあります」。さらに薄田自身は20歳以下日本代表候補にも名を連ねていて、「しんどいことを選択する、しんどい時に前に出られるプレーヤーだと自分では思っています」と意気込む。「飛び級」が期待される立場を、こう俯瞰する。

「自分が頑張ってきた結果として名前を挙げてくださったのは嬉しいですが、まだ代表候補。ここで満足するんじゃなくて、その上まで行けるように努力していきたいです」

 2021年初頭に感動的なゲームを経験した「ギョウセイ」は、2022年初頭も価値ある時間を過ごしたい。6度目の日本一に向け、まずは1月1日の報徳学園戦をにらむ。

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