コラム 2021.11.26
【ラグリパWest】ギターから楕円球へ。亀沖泰輝 [天理大/FWバックファイブ]

【ラグリパWest】ギターから楕円球へ。亀沖泰輝 [天理大/FWバックファイブ]

[ 鎮 勝也 ]



 高3では国体のオール兵庫に選ばれる。報徳学園から明治に進むセンターの江藤良、フルバックの雲山弘貴らとチームメートになる。97回全国大会予選は初の決勝に進出。0−95で報徳学園に大敗するが、歴史を作った。

 大学はスポーツ推薦で関西学院を受けるも、不合格になった。
「ショックでした。悔しさもありました。同じリーグで関学を倒したいと思いました」
 指定校推薦で天理の国際学部に進む。センターの小笠原は大産大を選んだ。

「自分は運がよかったです。身長も高いほう、横もあった。天理は大きい選手は上に上げる方針でした。父と母に感謝しました」
 天理は小柄な選手が比較的多い。亀沖は「体の大きさも才能」を地でいった。

 Aスコッドと呼ばれる一軍から四軍までのまとまりでスタート。ケガ人が続出。春季トーナメントの関西学院戦は後半6分、出場する。94−12の圧勝劇だった。入学して3か月目のことである。
「一回、倒したいと思っていたので、運命のようなものを感じました」
 秋の関西リーグでも関西学院には4年間、1度も負けることはなかった。

 2年になって、クボタにいったファウルア・マキシに鍛えられた。
「ウエイトがへぼ過ぎました」
 ベンチは65キロほどでセットをこなしていた。ナンバーエイトの2年先輩と一緒にトレーニングをしたおかげで、100キロでセットをこなせるようになった。

 入学した時、寮にギターを持ってきた。アンプにヘッドフォンをつけて時々引いていた。「去年からやっていません。弦が切れてしまって…。これからは趣味でやります。ちょっとひけんねんで、って感じで」

 天理は11月20日の京産大戦に10−19(前半10−7)で競り負けた。開幕の7−23とした近大戦に続きリーグ戦2敗目。勝ち点は前節20のままで、関西6連覇はなくなった。ただし、まだ大学選手権の2連覇は残る。

「ラグビーを選んでよかった。友達もいっぱいできて、充実しています」
 就職はラグビーを絡めてできた。社会人でもプレーは続ける。その前に、納得のいく形で大学ラグビーを締めくくりたい。残りわずかな期間、亀沖は先発、交替に関わらず、漆黒ジャージーのために体を当て続ける。

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