国代表資格変更が可能に。元NZ代表らに太平洋諸国が注目、元豪代表フォラウにはトンガ熱視線
ラグビーの国際統括団体であるワールドラグビーは11月24日、「国の代表チームでプレーする資格」に関する規定の改正案を承認したと発表した。
これまでは、一国(地域)の代表チームでプレーした選手は他の国・地域の代表チームでプレーすることはできないとされていたが、新たな規定により、一定の条件を満たせば選手は一度だけ代表する国・地域を変更できるようになった。
2022年1月1日から適用されるようになり、改定された規定第8条に基づいて代表資格変更をおこなうためには、以下の基準を満たす必要がある。
●最初の代表チームで最後に試合出場してから36か月間以上経過していること。
●選手が代表資格変更を希望する国で生まれている、または親や祖父母のうち誰かがその国で生まれていること。
●改定された競技に関する規定第8条に基づき、選手は一度だけ変更することができ、品位を維持するために、それぞれのケースはワールドラグビーのレギュレーションコミッティーの承認が必要となる。
代表資格の規定に関する今回の変更は、特にパシフィックアイランドの国々に大きな利益をもたらすと言われており、ニュージーランドやイングランドなど強豪国の代表チームでキャップを獲得したフィジー、トンガ、サモア系の選手たちが、3年経過後に自分や親・祖父母が生まれた国の代表としてプレーするチャンスを得られることになる。
例えば、NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安に今季新加入した世界的ビッグネームのイズラエル・フォラウは、オーストラリア代表として最後にプレーしたのは2018年11月24日で、両親がトンガ出身のため、彼が希望して代表資格変更が認められれば、トンガ代表として2023年のワールドカップに出場することが可能となる(トンガ代表は最終予選で出場権獲得を目指している)。
トンガ代表のトウタイ・ケフ ヘッドコーチは以前からメディアで、「フォラウをチームに迎えることができればハッピーであり、ドアを開けてる」と語っている。
2015年にニュージーランド代表“オールブラックス”でのキャリアを終えているチャールズ・ピウタウも両親がトンガ出身。
サモアも元オールブラックスによって強化される可能性があり、最後のテストマッチ出場からすでに3年以上経過している2015年ワールドカップのトライ王であるジュリアン・サヴェアや、黒衣の10番をつけたことがあるリマ・ソポアンガがサモア代表として2年後のワールドカップで日本代表と対戦する可能性がある。
ジュリアン・サヴェアは今回の発表を受け、自身のツイッターで「Never say never(ありえないことはない)」とつぶやいている。
また、今回の改定のもうひとつの利点は、代表チームに次ぐ「すぐ下のシニアの15人制代表チーム」(A代表など)でプレーしたことでしばられていた選手が解放され、基準を満たしていれば、別の国・地域の代表選手になることができる。
そして、これまではオリンピックに関連するさまざまな条件をクリアすることにより、国籍を持つ国の7人制ラグビー代表に資格変更することが可能で、それによって15人制代表資格も変えられるため「抜け穴」とされていたが、今回の改定により、全体で整合性のある簡素化された一つのプロセスが構築されることになる。