コラム 2021.11.09
【コラム】ブレイクダウンで、顔と壺

【コラム】ブレイクダウンで、顔と壺

[ 谷口 誠 ]

 こちらの原因究明は、正直に言ってお手上げ。ただ、候補に挙げられるのはボールインプレーの定義である。データ会社やアナリストによって違うので、おのずと計測結果も変わる。両コーチが比較の対象とした期間も違うのかもしれない。

 トップレベルのコーチが同じものを見ていても、見解が180度異なることがある。客観性を担保するはずの競技規則やデータでさえ、着目する場所によって浮かび上がるものが変わる。まるで、白い壺と2人の顔、どちらにも見える「ルビンの壺」のよう。

 求められるのは、様々な数値や条文のどこに目を付け、どう解釈するか。さらに今の自分達の立ち位置を見極め、最善の方向性を見いだす思考力なのだろう。

 コーチやチームは常に問われている。顔と壺、あなたにはどちらに見えますか?

【筆者プロフィール】谷口 誠( たにぐち・まこと )
日本経済新聞編集局運動部記者。1978年(昭和53年)生まれ。滋賀県出身。膳所高→京大。大学卒業後、日本経済新聞社へ。東京都庁や警察、東日本大震災などの取材を経て現部署。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で社会人修士課程修了。ラグビーワールドカップは2015年大会など2大会を取材。運動部ではラグビー以外に野球、サッカー、バスケットボールなどの現場を知る。高校、大学でラグビーに打ち込む。ポジションはFL。

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