国内 2021.11.06

【関東大学リーグ戦3部】 今年は真の1位に。玉川大が都立大下し2連勝。

[ 見明亨徳 ]
【関東大学リーグ戦3部】 今年は真の1位に。玉川大が都立大下し2連勝。
試合終了間際に逆転し喜ぶ玉川大の選手たち。後半42分、WTB西郷が右隅へトライを決めた(撮影:見明亨徳)


 関東大学リーグ戦3部は10月24日に2021年シーズンが開幕した。
 今年も所属8校をA、B組に分けて3試合ずつを戦い、11月28日にA、Bの同じ順位同士が最終順位を決める。
 Aは昨年度1位の玉川大、防衛大、東京都立大に国際武道大。Bは昨年2位の駿河台大、東京工業大、東京農業大、千葉大の組分けになった。

 第2節、10月31日に玉川大と都立大が対戦し、最後ワンプレーで玉川がトライを奪い18-17で逆転サヨナラ勝ちした。玉川が連勝、11月14日に2勝の防衛大とA組1位を争うことに。都立大は同じく連敗の武道大と初勝利をかける。

都立大は前半5分、ラインアウトからモールを押し込み先制(撮影:見明亨徳)

 試合の入りは都立大だった。5分、反則を得ると玉川陣へキックを蹴る。右ラインアウトからモールを押し込みHO高尾龍太(3年、高津高)がインゴールへボールを置いた。コンバージョンもFB松本岳人(4年、所沢北高)が難しい位置から決めて7-0とした。

 10分以降は玉川が都立陣へ入ると大きくボールを動かす攻めで優位に。しかし雨天もありハンドリングミスなどで機会を逸した。「前半20分間の組み立てをどうするか判断などを修正していきたい」(玉川大、須崎信孝監督)。

 25分、都立大は同じパターンで左ラインアウトを得る。モールからフォワードがラックサイドを突くなどしつこくフェーズを重ねると、高校3年時に花園出場経験がある右PR浅井慧太(3年、石見智翠館高)が左中間へ仕留める。ゴール成功で14-0と優位に進めた。

「我々のフォワードの方が相手のフォワードよりもパフォーマンスがいい。そこにこだわった方がいいゲームができる」と都立大の藤森啓介ヘッドコーチ(元早稲田摂陵高監督)はゲームプラン通りの展開と話した。

 一方の玉川は敵陣に入るとバックス勝負のプラン。バックスには花園の土を踏んだSO井上光(3年、大分舞鶴高)、左WTB浦瀬瑛紳(2年、茗溪学園高)、右WTB西郷光(1年、明和県央高)、FB荻野拓郎(4年、茗溪学園高)が並ぶ。

 33分には玉川SO井上が40メートルのPGを成功し3-14と追い上げにかかる。これは都立大が敵陣に蹴ったボールからの攻撃で相手反則を誘ったものだ。さらに前半終了間際、玉川が敵陣ゴール前で相手のノックオンから左中間マイボールスクラム。SH遠山美侑(3年、保善高)がライン際へ走るWTB浦瀬へ。左中間へ飛び込み8-14で折り返した。

 勢いを得た玉川が後半開始から攻めて都立大ノットロールアウェーに。右ラインアウト起点にオープンへ運ぶと、左隅に右FL田島智樹(2年、東福岡高)のトライで13-14、1点差に迫った。ここからお互いに譲れない。

 30分、玉川SO井上のPGは外れる。残り10分、38分に都立大が自陣からキックを蹴る。玉川のボールキャリアーに絡むと反則を誘った。敵陣22メートルのPGをFB松本のキックが確実にゴールポストの上を通り17-13と勝利に近づいた。

 残り1分余り。リスタートのボールを確保し続けたい都立大。「勝利の確信はあった」と3年前の主将NO8辰巳紘奨(院2年、本郷高)。しかしラックでキャリアーが前へ出たとこでノットリリースを犯した。玉川はタッチを狙わずスクラムを選択。敵陣10メートル内、左側。迷わずボールを右へ動かす。右WTBルーキー西郷が右隅へ飛び込む。トライが認められ、18-17と逆転。コンバージョンは不成功も開幕連勝をつかんだ。

玉川大の須崎信孝監督「個々の状況判断を修正したい」(撮影:見明亨徳)

「相手のコンタクトの強さは勉強になった。時々の判断などを修正していきたい」。玉川は昨年度リーグ1位。しかしプール戦で東京農業大に勝利するも残り2試合は不戦勝などで戦えず。最終戦も相手の駿河台大が棄権でわずか1試合1勝の結果だった。「イレギュラーでしたが形だけでも1位、プライドを持って今期に臨んでいます。真の1位を目指す」(須崎監督)。

 連敗となった都立大LO谷村誠悟主将(4年、青山高)は悔しさと自信を口にした。「結果として1点差の負け。落ち込んだけど試合前にやろうとしたこと。フォワードでプレッシャーをかけることは序盤から最後までできた」。

 試合前、藤森ヘッドコーチは円陣で「譲れない人生があるのでは」と選手たちに問いかけていた。「人って後悔するじゃないですか。この80分間、自分の思い、人の思いを背負ってできるかということ。『幸せ』な時間。大学生だからできる時間だと思います。精いっぱい楽しんで欲しい。早慶戦、早明戦やここのカテゴリー(3部)に関係なく同じ80分間と僕は解釈しています」

 同じ円陣で4年生、志喜屋結利マネージャーが「マネージャーの皆がいるから(選手は)大船に乗った気持ちで頑張って」と思いをぶつけた。敗者も気持ちは一つだ。

「譲れない人生をこの試合に」と問いかけた都立大の藤森啓介HC(撮影:見明亨徳)

 3部Bでは、昨年6位の東京農業大が初戦で東京工業大に25-20で勝ち、第2節では駿河台大を22-21と下し唯一連勝。次節の相手が連敗の千葉大で、1位通過に近づいている。東工大と駿河台が同組2位を争う展開。

<リーグ戦4部以下の状況>
 リーグ戦は5部まである。4部、5部とも今季は試合を3部と同じく2つに分けて最後に順位決定戦を予定する。
 4部はA組で駒澤大が2連勝、東京理科大と神奈川大は1勝1敗。2敗は創価大。Bは横浜国大、千葉商科大が連勝。多くの日本代表を輩出した埼玉工業大、獨協大が2敗となっている。
 5部はA組に地区対抗から新加入した東京外国語大がいる。10月24日の桜美林大戦に31-26と初勝利し1勝1敗。順天堂大が2勝、桜美林が1勝1敗、神奈川工科大が2敗だ。
 B組は東福岡高、法政大を率いた谷崎重幸監督が2年目を迎えている新潟食料農業大が好調だ。東京経済大を34-17で下すと、千葉工業大には25-0と連勝し、11月7日に同じ連勝の芝浦工業大と戦う。

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