国内 2021.11.05
明治に敗れた慶應の収穫。慶應17-46明治のスコアに見出す今季の「これから」。価値ある3トライには「幅」がある

明治に敗れた慶應の収穫。慶應17-46明治のスコアに見出す今季の「これから」。価値ある3トライには「幅」がある

[ 編集部 ]

 後半36分、押し切れないモールから左へFB山田響がパスアウト、CTBイサコ・エノサが相手ディフェンスラインを分断する前進。食い込んだラックから、さらに左へ回り込んだBKがフラットなパスで最終ディフェンスを破った。SO中楠からパスを受けたCTB鬼木崇の動き、キャッチが目を引いた。鬼木がその背中と左に従えた選手たちもいい仕事(WTB佐々木、山之内颯人)。鬼木にディフェンダーの間を走らせ、抜けてインゴールへもつれ込んだ。

 すでに12-41と点差は開いていたが、互いに力を注ぐラインアウト・モールが起点だっただけに、それが布石となったトライには価値があった。

 この日、反応の良いタックル、前に出続けるプレッシャーで局面では明治を苦しめた鬼木が、アタックでもいいところを見せたのは慶應らしい。ディフェンスで前に出れば、アタックでも前に出られる。鬼木、山本凱ら個々で見せているタックルが今後は組織で機能すれば、試合展開やスコアはまだまだ変わる可能性がある。

 原田衛主将は、得意のラインアウト・モールが封じられたことについては、サインの伝達ミスを挙げている。ここは修正可能な領域だろう。

 体を当てて、当てられて、得意を封じられ敗れた選手はそれでも悔しい。闘志は高まるばかりだ。一方で栗原監督は、悔しさを噛み締めながらも、この日得たいくつかの収穫を糧にシーズン佳境を見据えている。11月下旬まで、ほぼ3週間の準備期間をおいて、慶應はどんな変貌を見せるか。11月23日の早慶戦は、今年も見る価値がある。

身長170センチのCTB鬼木崇(中央上)は福岡の進学校・修猷館出身。2年長く受験準備をして慶應合格を勝ち取った(撮影:松本かおり)

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