国内 2021.10.16

【トップイーストA】東京ガス、開幕3連勝は『同じ絵を見ているから』

[ 山形美弥子 ]
【トップイーストA】東京ガス、開幕3連勝は『同じ絵を見ているから』
FBジョーダン・ジャクソン=ホープの先制トライ。(撮影/山形美弥子)
スーパーラグビーキャップ92の経験値がオーラを放つ。NO8ジェイク・シャッツ。(撮影/山形美弥子)
タッチライン際を駆け抜けるフィニッシャー、WTBマイケル・ザキア。(撮影/山形美弥子)
CTB平尾充識のグラバーキックがトライを呼んだ。(撮影/山形美弥子)



 相手に得点を許すたび、胸に鞭を打って叩き返した。

 10月9日、トップイーストリーグAグループの東京ガスが、ホームグラウンド(東京・大田区)で横河武蔵野アトラスターズと対戦し、熱戦の末、31-20で勝利した。
 全員の目に同じ絵が見えている。そんなプレーを積み重ねながら、次第に相手を上回って行った。

 穂坂亘ヘッドコーチは、「われわれの強みはディフェンスからのアタック。今日もターンオーバーからトライが何個か獲れたのが良かったかな」と穏やかに語り、「最も警戒していたのは、ゲームキャプテンのジェイデン・トア・マックスウェル選手(NO8)」と続けた。

 FWに190センチオーバー2人、110キロオーバー2人を配し、セットプレーにも自信を持っていただろう。しつこいアタックと分厚いディフェンス、果敢なランニングラグビーを披露した。

 敗れた横河武蔵野もディフェンス面では互角に勝負し、徹底したアタックマインドで試合を進めようとする意志が窺えた。

 試合は東京ガス7点、横河武蔵野10点で迎えた前半38分、東京ガスがラインアウトからワイドに攻め、LOトロイ・カレンダーと息の合った連携を見せたNO8ジャスティン・ダウニーがディフェンダー2人を引きずりながら中央にフィニッシュし、14−10で折り返した。

 NO8ダウニーは、接戦の時間が長かった戦いを振り返り、「今日の試合は素晴らしい試練だと思いました」と言った。
「今日のゲームでは、トライを獲得するチャンスがたくさんありましたが、小さなミスで勢いを止め、横河にエネルギーを与えてしまっていました」と分析した。

 後半、東京ガスは先にスコアを刻んだ。
 7分、WTB新居良介がキックカウンターに来た横河武蔵野FB青木大のボールをもぎ取り、ターンオーバーから左スペースにボールを運ぶ。

 CTB平尾充識がグラバーキックで敵陣22メートルエリア左へ蹴り込んだ。
 WTBマイケル・ザキアが大外からタッチライン際をしなやかに駆け抜け弾道に飛びつく。19−10と点差を広げた。フィニッシャーは雄叫びを上げた。

 そのザキアは、「今日は強烈なコンテストのチーム同士によるとてもフィジカルなゲームでした」と試合後に戦いを振り返って言った。
「前半は両チームとも一進一退でしたが、後半になれば高い強度と良いテンポによって安定した試合運びが可能になると確信していました。それが非常に上手くいった。試合の大勢を決する2つの素晴らしいトライにつながりました」

 横河武蔵野も粘った。
 後半12分、WTB西橋誠人のビッグゲインでゴールに迫った後、スクラムで勝負に出た。

 一丸となって押し切ろうと試みるも、スクラムが崩れた。
 しかし、直後だった。ベテランSH那須光が外に開いて相手の注意をそらそうとした瞬間、それに東京ガスのLOカレンダー、NO8ダウニーらが反応する。密集から離れた。

 そのスペースを走ったのがNO8ジェイデンだった。インゴールにボールを置く。ゴールも決まり、19−17に迫った。
 青いジャージーの1番・古澤陸は、「春におこなったFW合同練習では押されていたので、このスクラムは会心のスクラムだった」と笑顔を見せた。
「この日は地面がぬかるんで、最初のヒットで勝った方が押せそうな感じがしました」

 2点差を追う横河武蔵野。逃げ切りたい東京ガス。接戦は続いた。
 強い風とまぶしい午後の日差しに両者は翻弄された。その影響でプレーの精度を欠くシーンもあった。

 30分、東京ガスSH山岡篤樹が相手パスの乱れを突いてインターセプトし、そつなく得点に変えた(24-17)。しかし横河武蔵野がリスタートのキックを蹴ると、東京ガスは反則を犯す。3点を献上してスコアは再び24-20と近づいた。

 1トライ差で迎えた残り5分、勝負が決まった。
 横河武蔵野の反則から得たペナルティキックをタッチに蹴り出した東京ガスは、相手陣深い位置でのラインアウトからモールをそのまま右中間に押し込む。HO小川一真が持ち出しとどめを刺した。
 SO宗像仁もゴールをねじ込んだ。

 後半投入のNO8ジェイク・シャッツは、「今日は苦戦しましたが良い勝利でした。横河は手強かった。東京ガスは良いパフォーマンスを見せました。特に、リザーブだったフロントロー達が出場してからは、素晴らしいパフォーマンスで流れを維持し、良い形で試合を締めくくることができました」と語った。

 FBジョーダン・ジャクソン=ホープは、「非常に厳しいコンテストの試合でした。東京ガスが得点するたびに即座に横河に反撃され得点されていました。両チームとも良いラグビーでした。次戦(11月28日)を楽しみにしています」と話し、「横河で最も印象的だった選手は?」の問いには「WTB西橋誠人選手でしょうか。彼はボールを持たせると常に危険で、何度も素晴らしい前進をし、トライのきっかけも作っていました」と称えた。

 東京ガスの通算成績は3勝0敗で勝ち点14、順位は1位。次節は16日、敵地でヤクルトレビンズと激突する。

※トップイーストリーグの全試合日程は、関東協会の公式サイトでご確認ください。

マン・オブ・ザ・マッチに輝いた18番、PR蛯名崇博。(撮影/山形美弥子)
NO8ジャスティン・ダウニーの激しくも乱れぬプレー。(撮影/山形美弥子)
東京ガスは、全員の目に同じ絵が見えている。そんなプレーを積み重ねて相手を上回った。(撮影/山形美弥子)


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