国内 2021.09.10

手本は「ビースト」 流経大のアピサロメ・ボギドラウがLOから左PRに転向

[ 向 風見也 ]
手本は「ビースト」 流経大のアピサロメ・ボギドラウがLOから左PRに転向
プロップ転向で注目される流経大のアピサロメ・ボギドラウ(撮影:向 風見也)


 あの大先輩に倣う。

 流経大ラグビー部のアピサロメ・ボギドラウはフィジー出身の23歳で、身長190センチ、体重118キロの体躯をしなやかに走らせる。入部3年目の今季は、本人の将来を見据えた首脳陣の意向で大胆なコンバートに踏み切る。

 長身選手のひしめくLOから、スクラム最前列の左PRに移る。

「(転向のきっかけは)監督からの勧めです。私の身体を見て、『ワールドクラスのPRになれるよ』と」

 8月19日には、夏合宿先にあるサニアパーク菅平で天理大と練習試合を実施。ボギドラウは、主力組同士の「A」戦と控え組による「B」戦の両方で途中出場した。グレードを問わずたくさんのゲームに出て、たくさんのスクラムを組むためだ。

 振り返れば、6月上旬から7月いっぱいまで感染症の拡大のため活動を止めていた。新しいポジションで練習した時間もそう長くはない。通称「アピ」は苦笑した。
 
「初めてだから、めっちゃ、大変です」

 隣のHOと密着しながら後方からのパワーを相手に伝えるのがスクラム時の両PRの役割。経験値がものをいうポジションで熟練者と渡り合うべく、平時から意識的にスクラムに触れる。長年、南アフリカ代表で同じ位置を務めてきた「ビースト」ことテンダイ・ムタワリラの動画を見て、組み方のイメージトレーニングをしているらしい。

「毎日、夜、寝る前にYouTubeで!」

 内山達二ゼネラルマネージャー兼監督は、「イシレリの次を担える」。流経大OBで神戸製鋼所属の中島イシレリは、2019年に持ち場のNO8から左PRに転向。同年のワールドカップ日本大会に出ている。

 かたやボギドラウは、大学在籍時だけで2年の修業期間を確保できる。指揮官は期待する。

「彼の持っている筋力などを考えた時、新たなチャレンジをさせようかと。日本であれだけ馬力のあるPRはなかなかいないですから」

 加盟する関東大学リーグ戦1部の開幕節は、9月11日から26日に延期。流経大はその日、埼玉・熊谷ラグビー場Bグラウンドで大東大とぶつかることとなり、最初のカードとなるはずだった茨城・流経大龍ケ崎グラウンドでの関東学院大戦は10月17日に回すこととなった。

 職場変更に挑むボギドラウは、準備期間の長期化をプラスに転化できるだろうか。

PICK UP