コラム 2021.08.27
【ラグリパWest】父子、最後の秋。安藤昌宏・和輝 [関西学院高等部/兵庫県]

【ラグリパWest】父子、最後の秋。安藤昌宏・和輝 [関西学院高等部/兵庫県]

[ 鎮 勝也 ]



 家庭では妻であり母である裕佳(ゆか)が緩衝材になってくれる。
「嫌だったことを聞いてくれます。いつも気にかけてくれています」
 母の旧姓は中島。実家の父・誠二郎と兄・宏介は同志社ラグビーの出身。父は社会人チームのワールドで部長をつとめ、兄は1989年度の主務だった

 父は御影高で競技を始め、天理大に進む。1993年、高等部に新卒赴任した。現役時代はスタンドオフ。高校時代の監督・松原忠利は現在、関西ラグビー協会の理事長である。
「安藤先生のキックはどこまで飛んで行くんやろ、と思うくらいすごかったです」
 初期の教え子の野中孝介は覚えている。2013年から3年間、大学の監督をつとめた。

 家族4人は楕円球に近かった。安藤家には小6の沙央梨(さおり)がいる。息子は幼稚園から地元の芦屋ラグビースクールで競技を始める。中断期間もあったが、その時は初等部でタグラグビーをやった。

 今、その左ヒザには黒いサポーターが巻かれている。4月の練習試合でじん帯を切った。
「9月中には復帰するつもりです」
 その間、上半身を鍛える。
「大きくなったね、と言ってもらえます」
 身長は173センチとそう高くないが、体重は90キロ近くまでもっていった。

 息子の代は2月、報徳学園とともに近畿大会に出場した。10−50と京都成章に敗北。第5代表として選抜大会出場はならなかった。県民大会と呼ばれる春季大会は決勝敗退。報徳学園に26−45だった。

 夏合宿は8月6日から10日間、長野・菅平などで行った。コロナにかからず、当初の日程を終えた。昨年から10人が卒業で抜けたが、バックスには決定力がある。フルバックの武藤、ウイングの立巳竜の介と2枚の高校日本代表候補を擁する。

 101回目の全国大会予選の組み合わせは9月2日に決まる。
「報徳に勝つこと。まずそれです」
 息子は力を込める。部員と監督の関係を一日でも長く続けるため、雪辱は絶対である。

「和輝にはかわいそうな部分はあります。でも、あいつ自身が超えていかなあかんことやと思っています。結果的にいいようになったら、いいと思います」

 つらさと喜びが表裏一体だった3年間。どのような形であれ、最後は「お疲れさまでした」と笑い合えれば、それでいい。

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