【東京パラリンピック】逆転勝利! 車いすラグビー日本代表、白星発進
8月25日、東京パラリンピックは競技がスタートした。
車いすラグビーも始まった。各大陸予選を勝ち抜いた8か国が出場し、5日間の日程でおこなわれる。
日本の初戦は、3年後にパラリンピック開催を控えるフランスが相手だった。
和柄の白地に桜をあしらった「桜のジャージ」で堂々と会場に現れた日本代表は、円陣を組み、心をひとつにした。
ティップオフを制したフランスがいきなり2点を先取する立ち上がり。日本は、いきなり苦しい展開を強いられた。
およそ2年ぶりとなる国際試合、そして自国開催のパラリンピック。プレッシャーがあったか、日本のエース・池崎大輔は「柄にもなく緊張した」と話した。
車いすラグビーの得点方法はトライで、1点ずつ積み重ねていく。オフェンス側が有利な競技のため、ターンオーバーからオフェンスの回数を増やすことが重要だ。
トライでじりじりと点差を広げていくことが求められる。
日本は選手交替で流れを変えながら、ようやく第1ピリオド中盤にターンオーバーを奪う。1点差とするも、再びフランスにターンオーバーを許し、同ピリオドを13-15で終えた。
第2ピリオドになっても、日本がフランスを追いかける厳しい時間帯が続いた。
フランスはキャプテンのジョナタン・イベルナを中心に連係プレーで着実に得点を重ねた。
日本のベンチからは「プレッシャー」と仲間の背中を押す声。ケビン・オアーヘッドコーチ(以下、HC)は「Work! Work!」と檄を飛ばす。しかしフランスにリードを許したまま、25-27のビハインドで前半を終えた。
後半に入ると、日本は1点差に詰め寄った。開始早々、相手のパスミスからターンオーバーを誘った結果だった。
キャプテン、池透暢の正確で華麗なロングパスもあり、徐々にリズムを取り戻す。ラストトライを池崎が決め、41-41の同点で第4ピリオドを迎えることになった。
一進一退の攻防が続いた。
その中で、チーム最年長の島川慎一が渾身の走りを見せた。そして、パラリンピック日本代表初の女子選手となった倉橋香衣も好プレー。相手の動きを先読みし、屈強なフランス選手を一人で止めた。
試合時間残り3分27秒、日本はようやくリードを奪う。最後は世界選手権・優勝決定の瞬間と同じラインアップを送り出し、53-51で大きな勝利を勝ち取った。
試合後、ケビンHCは「仲間を信じてチームがファイトした。『勝ちに行く』という気持ちを捨て、目の前のプレーに集中することに切り替えたのが勝因」と冷静に語った。
チームで唯一フル出場したキャプテンの池は、安堵の表情を浮かべながら「日本チームの出来は決して悪くなかった。フランスがこの2年間で積み上げてきた素晴らしさを感じた試合だった。全力を尽くせば奇跡が起きるという一心で最後までやり抜いた」と激闘を振り返った。
日本の予選ラウンド第2戦は、8月26日(木)、14時ティップオフ。デンマークと戦う。
相手は、初戦で優勝候補の一角、パラリンピック3連覇を狙うオーストラリアを破る大金星を挙げている。その勢いをはね返す。