南半球の強豪4か国が激突! 『ザ・ラグビーチャンピオンシップ』展望
南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンの南半球強豪4か国によって争われる『ザ・ラグビーチャンピオンシップ』が、いよいよ8月14日に開幕する。昨年は新型コロナウイルスの影響で南アフリカが不参加となり、2年ぶりに4か国が顔をそろえる今大会を展望してみたい。
2019年W杯王者スプリングボクスは圧倒的なフィジカル健在
今回のザ・ラグビーチャンピオンシップで優勝争いの中心ともくされているのは、2019年のワールドカップ日本大会を制した世界王者、南アフリカ代表スプリングボクスだ。
国内の深刻な感染状況により2020年は1試合もテストマッチを実施できなかったが、今年7月から8月にかけて行われたブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとのテストシリーズでは、1年8か月もの長いブランクの影響を感じさせない迫力満点のパフォーマンスを披露。イギリスおよびアイルランドの精鋭が集うドリームチームを相手に2勝1敗と勝ち越し、今なお世界トップクラスの実力を維持していることを証明した。
最大の武器は、他の強豪国の歴戦の猛者たちですら顔をしかめる圧倒的なフィジカルの強さと、それをベースにした鉄壁の組織ディフェンスだ。SHファフ・デクラーク、SOハンドレ・ポラードのキックでFWを前に出し、エベン・エツベス、フランコ・モスタートの両LOやFLピーター=ステフ・デュトイら2メートル級の大型選手が激しく体を当てて圧力をかけるおなじみのスタイルは、派手さこそないもののそれだけで試合の流れを決めてしまうほどの破壊力を有する。塊を粉砕するようなスクラムの猛プッシュ、攻守に絶大な存在感を発揮するダミアン・デアリエンディ、ルカンヨ・アムのCTB陣、わずかな好機をトライに結びつけるマカゾレ・マピンピとチェズリン・コルビの両WTBの決定力も、相手にとっては脅威だ。
オールブラックスではトップリーグで活躍したバレット、レタリック、ペレナラに注目
追走者の一番手は、現在スプリングボクスに次ぐワールドラグビーランキング2位のニュージーランド代表オールブラックスだろう。2019年のワールドカップで3位に終わった後、イアン・フォスター新監督のもとで再スタートを切った2020年は南アフリカ抜きのトライネーションズで2勝2敗と低調なシーズンに終わったが、スコッドの顔ぶれを見ても依然として世界屈指のチームであることに疑いはない。今年5月から6月にかけて行われたスーパーラグビー トランス・タスマン(ニュージーランドとオーストラリアのスーパーラグビークラブ10チームが参加)で上位を独占し、全チームトータルの成績で23勝2敗とオーストラリア勢を圧倒したことからも、豊富な戦力はうかがえる。
今季は7月にトンガ(1試合)、フィジー(2試合)と3テストを戦ったが、いずれも大差の勝利で、このラグビーチャンピオンシップでフォスター体制の真価が問われることになる。胸部を手術したキャプテンのFLサム・ケインは復帰までもうしばらくかかりそうだが、今季トップリーグに旋風を巻き起こしたSHのTJ・ペレナラ、PRジョー・ムーディーとPRオファ・トゥウンガファシらが今大会からスコッドに帰ってきたのは大きなプラス材料だ。サントリーで活躍したSOボーデン・バレット、神戸製鋼で2季プレーしたLOブロディー・レタリックも名を連ねており、日本のファンにとってはペレナラと合わせていつも以上にプレーぶりが注目されるところだろう。
着実にステップアップ遂げるプーマス。ワラビーズは若返りで復権期す
昨年のトライネーションズで史上初めてオールブラックスから勝利を挙げたアルゼンチン代表プーマスは、今年7月にアウェーでルーマニア(24-17)、ウエールズ(20-20、33-11)とテストマッチ3試合を行い、2勝1分けという結果を残した。ワールドカップ2019はイングランド、フランスに敗れプールマッチ敗退に終わったが、そこで経験を積んだ新主将のHOフリアン・モントーヤやLO/FLマルコス・クレメール、WTB/FBサンティアゴ・カレーラス、CTB/FBフアン・クルス・マリアらが成長し、ワールドカップでチームを牽引した闘将FLパブロ・マテーラも健在。2023年のワールドカップパリ大会では日本代表と同じプールDに入るだけに、どんな戦いを見せるか注視したい。
近年思うように結果を残せていないオーストラリア代表ワラビーズは、2012〜2013年にチーフスをスーパーラグビー連覇に導いた名将、デイヴ・レニー監督のもとで昨年から大胆な若返りを図り、再建を進めている。今季は7月にホームでフランスと3テストを戦い、いずれも僅差ながら2勝1敗と勝ち越した(23-21、26-28、33-30)。今季トヨタ自動車でプレーしたFLマイケル・フーパー主将、このたびパナソニック入りが発表されたWTBマリカ・コロインベテら世界的ビッグネームに加え、底知れぬポテンシャルを秘めた魅惑のランナーWTB/CTBジョーダン・ペタイア、ワラビーズの将来を背負う逸材と評されるNO8ハリー・ウィルソン(ともに21歳)ら要所にタレントはそろっており、ここからの躍進が期待される。
2023年のラグビーワールドカップ・フランス大会を見すえる上でも、重要な意味を持つザ・ラグビーチャンピオンシップ。国際ラグビー界の巨星たちの激突をお見逃しなく。
『南半球4カ国対抗戦 ザ・ラグビーチャンピオンシップ』
8月14日(土)開幕!WOWOWにて放送&配信!
【第1節】
「南アフリカ vs アルゼンチン」
8/14(土)夜11:50〜[WOWOWオンデマンド]※生中継
※8/14(土)深夜11:50〜[WOWOWプライム]にて放送 ※無料放送
【ブレディスローカップ 第2戦】
「ニュージーランド vs オーストラリア」
8/14(土)午後3:50〜[WOWOWオンデマンド]※生中継
※8/14(土)深夜2:20〜[WOWOWライブ]にて放送
【第2節】
「アルゼンチン vs 南アフリカ」
8/21(土)夜11:50〜[WOWOWオンデマンド]※生中継
※8/21(土)深夜3:30〜[WOWOWライブ]にて放送
【ブレディスローカップ 第3戦】
「オーストラリア vs ニュージーランド」
8/28(土)夜6:45〜[WOWOWオンデマンド]※生中継
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