各国代表 2021.08.09

美容師見習いからNZ代表100キャップ到達。アーロン・スミスは進化を止めない

[ 編集部 ]
美容師見習いからNZ代表100キャップ到達。アーロン・スミスは進化を止めない
記念の試合後、家族、仲間と。(写真/Getty Images)



 多くの人たちから祝福を受けた。
 アーロン・スミスが8月7日のブレディスローカップでニュージーランド代表キャップ100に到達した。
 同代表では10人目。SHでは初めてだ。

 イーデンパークでのオーストラリア代表戦に先発したスミス。節目の試合では、当該選手が先頭でピッチに入ることが多い。
 しかし同日のオールブラックスは、主将を務めたLOサム・ホワイトロックが最初に入った。

 そのことについてスミスは、「(自分のことより)チームの方が大事だから」と話した。
「できるだけ普段通りに、と思っていました。私はハカをリードするという、とても大きな名誉を与えられた。それが誇らしかった」

 試合には33-25で勝った。フルタイム後には記念のセレモニーがおこなわれた。
 記念のキャップが贈られ、駆けつけた家族とともに仲間、ファンから祝福された。

 スミスは32歳。1988年にパーマストンノースで生まれた。
 地元のフィールディング高校に通い、ファーストフィフティーンに選ばれた初年度はSOでプレーした。当時からハンドリングスキルが高かったという。
 ちなみに、100キャップ到達試合で主将を務めたホワイトロック主将は当時のチームメートで、同期だ。

 現在サントリーでアシスタントコーチを務めるジェイソン・オハロランは、以前、NZのメディアにこう話している。
 同コーチが2007年末、マナワツ協会のアカデミーで働き始めた頃の記憶だ。スミスはまだ、10代だった。

「彼が芝からすばやくボールを弾き出す姿を見て、次のシーズンからマナワツ州代表に引き抜かれると思った。信じられないほどのスキルセットがあった」
 横への動きやステップも抜群だった。そして実際、2008年から州代表のジャージーを着た。

 2010年にマオリ・オールブラックスに選ばれたスミスは、同代表の指揮を執ったジェイミー・ジョセフが翌年からハイランダーズの監督に就くと同時にチームに加わった。
 スーパーラグビーで結果を残すと、2012年6月のアイルランド戦でオールブラックスデビューを果たした。
 以来、積み重ねた100キャップのうち92試合は先発。2015年、2019年のワールドカップにも出場している。

 2016年には不適切な行動でバッシングを受け、チームからも処分を受けることもあった。しかし、その後はメンタルコーチの指導を受けながら精神的にも成長。自身も、身勝手だった自分が「変われた」と話している。
 今年7月のフィジー戦でキャプテンを任されたのも信頼の結果だろう。

 本格的なプロとして活動する前には美容師の見習いをしていた。
 オールブラックスでもチームメートの散髪を度々してきた。息子・ルカくんの初めての散髪も父がしたそうだ。
 小さな体から『ナギー』(Nuggy/ナゲットから)の愛称で親しまれる男は誰からも愛される。9番のジャージーを着て、まだまだキャップを積み重ねそうだ。

PICK UP