コラム
2021.07.29
【コラム】本当に開かれているのか。
世界中のスケーターの妙技を素晴らしいという意味で「ヤバい!」と、想定外であるとのニュアンスを込めて「ない、ない、ない」と叫んだ。板が障害物の上を綺麗に滑走するさまは「ビッタビタにはまってましたねぇ」と表現した。
語り手自身がプロスケーターとあり、現場で放たれるスキルの背景を愛情たっぷりにひも解くのも好感を与えた。倉田大誠アナウンサーの事前学習の量がにじむ誘い水は、放たれたヴィヴィッドな表現をよりわかりやすい形に変えた。
この潮流から学べそうなことは、「若者言葉(という表現がすでに若者らしくない)」そのものではない。分野を問わず、その領域の玄人が敬遠しがちな「一般向け」と見られるプレゼンテーションの仕方を馬鹿にしてはならない、という真理だ。
伝える対象の本質(むしろ重要なのはこちら。これがなければただのペテン)を捉え、例えば「短い感嘆文→補足情報」といった風に、聞く気のない相手の耳にも入るよう示す。この手順を踏むべきは、現在の施政者だけではないはずだ。ラグビー界で「にわか」を自称するファンへ理解を促す際も、この法則は効くかもしれない。
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