いまこそスポーツ。タッチラグビー大会参加費と豪華オークションで子どもたちをサポート。
そのエネルギーは、いったいどこから湧いているのか。
東京はフクシ・エンタープライズ墨田フィールドで、チーム別に用意されたオレンジ、緑、グレー、水色といった彩りあるユニフォームを着た面々が楕円球をつないでいた。
開催日の7月11日はあらかじめ悪天候が予想され、実際、参加者は一時的に屋根の下へもぐる。それでも夕方特有の雷と雨が去れば、また芝へ出た。
タックルを伴わないタッチラグビーの大会だった。参加費の一部や同日開催のオークションの売り上げは、児童養護施設で暮らす子どもたちを支える団体「みらいの森」へ寄付される。オークションには元日本代表の田中史朗、ブラックラムズ東京の前身たるリコーラグビー部の選手たちのサイン入りジャージィなどが出品された。
主催したのは「みんなのJapan Way(みんジャパ)」。ラグビー愛好家の輪を市井で広げるグループだ。メンバーはいずれも平日は各々の仕事で忙しいはずなのに、この午後、決して小さくない規模のイベントを運営したわけだ。
感染症の影響で世界がふさぎ込むなかでもなんとかアクティビティを成立させようと、約半年前から企画。当日はみんジャパのメンバーが複数組に分散したり、男女のタッチフット日本代表メンバーが特別編成軍を作ったりして、計10団体12チームが参加した。プレーヤーは入場前に検温済みだ。
「困っている人がいたら、『もうちょっとうまくやれるよ』と言ってあげたり、いい影響を及ぼしたりしたいんだ」
豊かな表情で語るのはクレイグ・ジレットさん。大会運営の肝が、メンバーの社会性を子どもたちの支援へとつなげるイベントの哲学を明かす。
ニュージーランドから来日15年目の52歳で、普段は企業向けの環境コンサルタントを営む。このイベントでは事前にスポンサーとなってくれる企業や店舗を取り付け、かねて交流のあるチャリティ先との調整役を担い、当日は選手として駆け回った。
「例えば、英語を話せない仲間がいたとする。彼が酔っぱらいながら片言で英語を使いだした時、こちらで意味を汲みながら話を続けた。すると彼は自信をつけ、いまではだいぶ上手に英語を話せるようになった。…そういう、ちょっとしたヘルプをしたい。(大会の準備は)大変だけど、手伝ってくれる人もいたから。いいコミュニティだよ」
人を能動的にするのがスポーツの力。そう再確認させるこのイベントは、来年以降も継続的におこなわれそうだ。