NTTコム移籍発表。日本代表ジェームス・ムーアはタックルに酔わない。
タックル数は両軍最多の21本を記録(対戦相手のホームページによる)。ラグビー日本代表の防御網を支えるジェームス・ムーアは、それでもこう言った。
「改善点はどれだけうまくいってもあり続ける。きょうもスタッツを見ると、2つうまくいかないタックルがありました」
7月3日、ダブリンのアビバスタジアムでアイルランド代表とぶつかる。
身長195センチ、体重110キロ。一線級のLOにあっては大柄ではないが、「準備段階から重点を置いていた」という空中戦のラインアウトで2度、スティールに成功。何より持ち味のタックルで渋く光る。
味方の位置取りの遅れで空いたスペースを突かれれば、そのエリアをカバーに回る。キックを追うチェイスラインの一角へ入り、先陣が抜かれたコースを穴埋めする…。
もっとも31-39で敗れたこともあってか、自らの好守には浮かれない。
「タックルはこの後も磨き続けたい。なぜならこのエリアは、自分が世界一になれる可能性のある、重要な部分だからです」
今回の欧州遠征では、6月26日のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦を含む全2戦で先発フル出場。4年に一度のみ編成される連合軍との初戦では、モール防御でも存在感を発揮。攻めては接点で相手をはがすスイープでも魅し、スクラムでも膝の角度、味方とのパックと求められる要素をクリアせんとしてきた。
2019年のワールドカップ日本大会でも、参加した全5試合にスターターとして出て8強入りした。アイルランド代表とのプールステージ第2戦でも、両軍最多となる24本のタックルを放つ。チームメイトの1人は、我が大会MVPはムーアだと強調した。本人はこうだ。
「名前を挙げてもらえて嬉しいです。自分としては、自分の仕事を継続してやり切る。これが重要です」
2016年に来日の28歳。国内所属先の宗像サニックスは2020-21シーズン限りで退団しており、7月5日にはNTTコムへの入団を発表。関係者によると、新天地でも運動量と防御で期待されている。
日本代表は今秋に再びキャンプを張る見込み。ムーアは気持ちを新たにしたうえで招集を待つ。