日本代表 2021.07.02

日本代表デビューで堂々アピール。クレイグ・ミラー、「テストマッチは1回きり」と覚悟。

[ 向 風見也 ]
日本代表デビューで堂々アピール。クレイグ・ミラー、「テストマッチは1回きり」と覚悟。
ライオンズ戦後、相手PRタイグ・ファーロングと握手する日本代表PRクレイグ・ミラー ©JRFU


 30歳で初陣を飾る。会計士の資格を持つクレイグ・ミラーが、ラグビー日本代表に新たな血を入れる。

 6月26日、エディンバラ・マレーフィールド。ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦で後半14分に本職の左PRで出ると、身長186センチ、体重116キロのサイズを活かしリズムを生む。接点周辺で球を得れば勢いよく突進し、欧州の雄を後退させる。

 チームにとって約1年8か月ぶりとなるテストマッチ(代表戦)を10-28で終えると、7月3日、ダブリン・アビバスタジアムでのアイルランド代表戦でもベンチ入り。引き続きインパクトが待たれる。

 テストマッチの価値は「セカンドチャンスはない」ところにあると本人は言う。

「スーパーラグビーのように数か月かけておこなう大会と違い、テストマッチは1回きりの試合です。その1回きりに向けてチームを作り上げるのが、自分たちにとってのチャレンジです」

 ニュージーランドのダニーデン出身。地元のオタゴ大で専門資格を得て、プロ選手となる前には会計士を務めた。

 2014、16、17年の計3シーズンはハイランダーズに加わり、国際リーグのスーパーラグビーに参戦する。当時の首脳陣には、現日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ、トニー・ブラウン アシスタントコーチがいた。いまのナショナルチームが目指すスタイルの源流に、ミラーは早くから触れていた。

 初来日は2018年。それまで地元から参戦してきたスーパ―ラグビーへ、ジョセフが率いていた日本のサンウルブズの一員として挑む。

 日本代表に携わる多国籍軍でプレーするうち、芽生えてきたのは冒険心だ。その思いを、2019年のワールドカップ日本大会時にさらに強めた。

 国民が沸き立つまでの約2年間を、ミラーはこう述懐する。

「2018年にサンウルブズでたくさんの選手と出会い、環境を体感し、『こういう選手とともにプレーしたい』と思ったのが(日本代表入りを目指す)きっかけです。2019年は観客としてもいい経験ができました。チームも(初の8強入りを果たし)、日本という国もいい成果を収めた。日本中のたくさんの人の心を奪った、成功した大会でした」

 念願の日本代表入り。2018年のサンウルブズでも指導された長谷川慎アシスタントコーチのもと、持ち場のスクラムでち密な理論をインストールする。前後、左右でつながる意識を持つ。

「彼は素晴らしいスクラムドクター。言われたことを信じ、遂行し、チームで団結していくのが重要です」

 芝の外でもつながりを求める。個人的に「週に1回」は日本語のレッスンを受けてきていたというミラーは、今度のキャンプ中も「長く(日本に)いる外国人に『こういう時は(日本語で)どう言えばいいか』と聞くこともあります」。海外勢同士での日本語の使用頻度について話題を振られ、「難しい質問ですね」としつつも述べる。

「自分から学ぶ姿勢が大事。日本語もその気持ちで使っていきたいです」

 視線の先には、2023年のワールドカップ・フランス大会もあろう。現日本代表の特徴を「お互いがお互いのことをしようと積極的に話し合っている」と話すミラーは、自らもその輪へ入り最後まで駆ける。

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