日本代表 2021.06.26

ライオンズはジャパンのテンポと松島幸太朗を警戒

[ 竹鼻智 ]
ライオンズはジャパンのテンポと松島幸太朗を警戒
11番で先発するドゥハン・ファンデルメルヴァ。豪快な走りが魅力。(写真/Getty Images)


 イギリス海峡のチャネル諸島での10日間の合宿のあと、ブリティッシュ&アイルランド・ライオンズは6月24日(木)に日本代表戦がおこなわれるエディンバラに入った。
 国内リーグのプレーオフ進出クラブに所属するイングランド勢が遅れてチームに合流するという調整を余儀なくされたものの、充実の準備合宿を終えて日本戦に挑む。

「期間は短いが、シャープで充実した準備ができている。日本代表は、南アフリカのチームとは違ったタイプの相手だが、その分、質の違うテストを行うことができる」とは、アランウィン・ジョーンズ主将(ウエールズ)のコメントだ。
 ディフェンスコーチを務めるスティーブ・タンディ(スコットランド)は、「日本代表は豊富な攻撃のバライティーを持っている。攻撃のペースをいろいろと混ぜ合わせて挑んでくるチームで、我々にとっては大きなテストとなる」と、その独特な攻撃力を警戒している。

 日本代表の2019年ワールドカップでの活躍は、世界中のラグビーファンの記憶に強く焼き付けられている。
 また、フランスのクレルモンで堂々の主力として実力を見せつけた松島幸太朗の名は4か国の記者たちにも知られており、トイメンとして対戦するドゥハン・ファンデルメルヴァ(スコットランド)には、「松島対策をどうするか」という質問も飛んだ。

「松島のクレルモンでのプレーは見ている。細かいことは話せないが、チームは決められたシステムに沿ってディフェンスをするだけ。今から試合が楽しみ」
 質問の核心をそうかわしたファンデルメルヴァだったが、欧州で活躍する松島は実力者揃いのライオンズにとっても、警戒の対象となっている。

 193センチ、106キロの巨体を活かしたパワープレーが特徴のファンデルメルヴァは南アフリカ出身の26歳。
 今年のシックスネーションズでは、イングランド戦、フランス戦でチームを勝利に導く決定的なトライを奪う。大会で5トライを挙げる活躍を見せた。

 昨秋のオータム・ネーションズカップでスコットランド代表デビューを果たしたばかりながらも、その勝負強さを買われてライオンズ入りを果たした巨漢WTBは、ライオンズの中でも注目選手の一人だ。
 欧州で最も名の知れている日本代表の走り屋とのマッチアップは、ライオンズのサポーターにとっても楽しみな対決となる。

 ジェイミー・ジョージ(HO)、カイル・シンクラー(PR)、コートニー・ロウズ(LO/FL)、オーウェン・ファレル(SO/CTB)、アンソニー・ワトソン(WTB/FB)らイングランドの選手たちがリザーブに名を連ねているが、初戦のスタメンに同代表勢はゼロ。それもこの試合の話題のひとつとなっている。

 個々の実力では欧州トップレベルの選手が並ぶライオンズだが、スケジュール上の理由などから、初戦を迎える時点ではチームとしてはまだ完成状態ではない。

 この夏は若手中心のイングランド代表の指揮を執る、ご存知エディ・ジョーンズ監督は、「名選手を揃えているとはいえ、ライオンズは連合チーム。準備期間を長く取れる日本代表には、十分なチャンスがあります」ともコメントしている。

 日本代表は、世界のラグビー界の歴史に、新たな栄光の名を刻むことができるか。世紀の一戦は、日本時間26日(土)の午後11時、マレーフィールドでキックオフを迎える。

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