男子7人制日本代表・本村直樹、揺れる五輪へぶれぬ思い。
「やっとここまで来たな、というのが率直なところです」と、男子7人制ラグビー日本代表候補の本村直樹は言った。
「1年延びた。(当時は)けがもあったので、(治療に時間を割けて)いい1年になった。自分としてもパフォーマンスがどんどんよくなっている」
目指していた昨夏のオリンピック東京大会が今夏に延期となり、いまはその準備に励む。話をしたのは5月上旬。都内での代表候補合宿中だ。オフをはさんで迎えた17日夜には宮崎へ渡り、さらにキャンプを続ける。
「延期前からメダルを目標にやってきた。これがあと3か月を切ってきた。日本を元気にしたい」
さかのぼって4月にはドバイに遠征。国際大会に出た。「ディフェンスでは接点で激しくいきたい」と伸びしろを語った一方、トライを獲り切る好感触も得られたと言った。味方を援護してトライラインに迫るだけでなく、突破口を開いての仕掛けてのフィニッシュを心掛けたい。力強い海外出身選手が担ってきたような役目を、自分も全うできればいい。
「(相手防御との)勝負となると、視野が狭くなる。勝負しながら、周りが見えたらいいと思います」
29歳。チームのリーダー格として求めるのは「一貫性」だ。短期的に複数の試合をこなす7人制ラグビーの性質を踏まえ、「試合ごとの波がある」のが課題だと言った。
「いいパフォーマンスをしている時はどの相手にも勝ち切れるのですが、その後(の試合)で少しパフォーマンスが悪いことも。プレーの一貫性をこれからの課題にして、練習でも(常に)同じようなパフォーマンスを出せるようにしないといけない。(世界の相手は)全員がいいパフォーマンスをしないと勝てる相手ではないと感じましたが、勝てない相手ではないと感じた。常にいいパフォーマンスを出せれば」
折からのパンデミックは収まらない。4年に一度おこなわれてきたオリンピックの開催は、依然、議論の対象だ。
もっとも国際オリンピック委員会は、選手団向けのワクチン提供の覚書をかわしたと発表。日本ラグビー協会の専務理事でもある岩渕健輔ヘッドコーチが、接種の見通しや日本オリンピック委員会(JOC)とのやりとりについて語る。
「ラグビー協会としては選手、スタッフ個々の判断を尊重することにしています。男子は昨今の報道を受け、この件で2回、ミーティングしています。現在の世界の状況、ワクチンが医学的、科学的に効果があるかどうかを説明しています。それをもとに選手が判断をしていく。接種の日程の希望は(JOCへ)すでに提出しています。(接種の人数については)そのタイミングでオリンピック出場の可能性がある選手へは、接種の権利をいただきたいと話している」
本村は、取材に応じた段階でこう発していた。
「昨日チームでその話があったという段階。はっきりとしたこと(持論)はないですが、オリンピックが全体としてポジティブに捉えられてないなか、全選手がワクチンを接種して日本に来られるとしたら開催するうえでポジティブに捉えられる」
集団としての総意は「五輪があると信じて準備する」である。本番までの間、選手選考と調整を国内で進めそうだ。