国内 2021.05.22

レイドロー、トップリーグ決勝は「サントリーに軍配?」。日本代表戦も展望。

[ 向 風見也 ]
レイドロー、トップリーグ決勝は「サントリーに軍配?」。日本代表戦も展望。
トップリーグ2021でプレーしたNTTコムのグレイグ・レイドロー(Photo: Getty Images)


 元スコットランド代表主将で現NTTコム所属のグレイグ・レイドローが、5月21日、2日後に迫ったトップリーグプレーオフの決勝、日本代表の今後の戦いを展望した。

 レイドローは身長176センチ、体重80キロの35歳。ゴールキックとゲームコントロールが長所のSHだ。

 スコットランド代表として76度もテストマッチに出て、長らく同国代表の主将を務めた。人間性と統率力が期待されて加わったNTTコムでは、プレーオフ2回戦敗退と苦しんだ。いまは「シーズン序盤にキープレーヤーがけがなどの理由で失われたことがあった。来季はそうしたことが起きないことを願っています」と明日を見据える。

 サントリーとパナソニックがぶつかる東京・秩父宮ラグビー場での一戦は、こう見ている。

「ものすごくエキサイティングな決勝戦になると思います。両チームとも決勝に値する。個人的にはサントリーが我々と同じカンファレンスにいたこともあって注目してきましたが、パナソニックもボールを展開するスタイルのラグビーをする。予想としてはサントリーに軍配が上がるのではないかと思っています。ボーデン・バレットら調子の上がっている選手がいるので」

 トップリーグが終われば日本代表が約2年ぶりに集結。6月26日、レイドローの母国であるスコットランドのマレーフィールドでブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとぶつかる。

 レイドローはブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズへも選出歴があり、「ブリティシュ&アイリッシュ・ライオンズに選ばれることは、スコットランド、アイルランド、イングランド、ウェールズの選手にとってはものすごく重要な意味があります」。今回、自身とその周りの人たちにとって格の高い集団が、自身とゆかりのある国の代表チームとぶつかる。

 見どころは? 日本代表の勝機は? 報道陣の質問に応じ、見解を示す。

「今回の試合の特別な点は、英国内でおこなわれることです。ブリティシュ&アイリッシュ・ライオンズは普段、他の国でツアーをおこないますが、今回は祖国で試合をします。さらにマレーフィールドスタジアムでは、16,500人までなら観客を入れられることもリリースされました。コロナ禍においてもファンの方々が来場できるのは素晴らしい」

「重要なのは、日本代表が自分たちのスタイルのラグビーをすることです。日本代表にアドバンテージがあるとすれば、その日がブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズにとっての初戦だということ。その前の練習時間を確保できないことも多く、調整不足になるかもしれない。…とはいっても、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズにとっての初戦に出られる選手はエキサイトする。それは確実に言えることです」

 振り返ればレイドローは、代表引退直前の2019年にワールドカップ日本大会へ参加。プールステージ最終戦で日本代表に21-28と敗れ、決勝トーナメント進出を逃している。

 今秋、やはりマレーフィールドで両雄の再戦が叶う。レイドローは笑った。

「ワールドカップで対戦した夜にいいパフォーマンスをしたのは日本代表で、日本代表が勝利を収めました。ただ振り返れば、スコットランド代表はあのトーナメントを通してうまくプレーできなかった。いまは、その時と状況が変わっています。コーチ陣と選手が代表でともに過ごした時間が長くなっていますし、プレースタイルもテストマッチに適したものに変わっています。日本代表が強いのは間違いないが、かなり接近した試合展開になるはず。そして、スコットランド代表が勝つことを願っています」

 この日は千葉マツダでの車両贈呈式に参加。トークセッションでは「祖国ではないところでの運転は緊張しますが、(乗車中の車は)ハンドリングもよく乗りやすいので緊張を和らげてくれます」と普段の様子も明かしていた。今後は若手への助言、チーム活動のサポートのためしばらく日本に残り、夏までには母国でのオフに入る。

千葉マツダから車を提供され、贈呈式に出席したレイドロー(撮影:向 風見也)

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