国内 2021.05.05

7人制と15人制で体を張り続けたレジェンド。桑水流裕策、引退。

[ 編集部 ]
7人制と15人制で体を張り続けたレジェンド。桑水流裕策、引退。
コカ・コーラレッドスパークスの顔だった桑水流裕策(撮影:Hiroaki.UENO)


 レジェンドが、引退を決断した。
 桑水流裕策、35歳。
 長く7人制ラグビーで活躍し「ミスターセブンズ」と呼ばれ、15人制でも屈指のハードワーカーだったことは誰もが認める。鹿児島出身の九州男児は、グラウンド内では怖いくらい鋭い目をしていたが、普段は謙虚で律儀な好漢。多くのファンに愛され、仲間に信頼され、他チームからも尊敬されたラガーマンだった。

 まだまだ、彼の勇姿を観たかったファンは多いに違いない。本人も、来年1月にスタートする新リーグでのプレーに意欲的だったと聞く。
 しかし4月30日、13年間在籍してきたコカ・コーラレッドスパークスが年内での活動終了(廃部)を発表。桑水流はその数日後、自身のインスタグラムなどで現役引退を表明した。

「この度、ラグビー選手としてのキャリアを終えることにしました。丈夫な身体に生んでくれた両親、常に近くで支えてくれた家族、今まで一緒にプレーした全ての仲間たち、そして、いつも温かい応援を下さったファンの皆さま、たくさんの方々に支えられてとても充実した、幸せな競技人生でした。感謝の気持ちでいっぱいです。今後については未定ですが、より良いスポーツ環境を整える事に、自分なりにどう貢献できるかを模索中です」(桑水流のインスタグラムより)

 鹿児島工業高校でラグビーを始め、福岡大学に進学。福岡大の2年生だった2005年に初めてセブンズ(7人制ラグビー)日本代表に選ばれ、10年以上、桜のエンブレムを胸につけてセブンズの国際舞台で戦ってきた。セブンズ日本代表として58キャップ。ワールドラグビーセブンズシリーズでは通算146試合に出場している。そして、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは主将を務め、優勝候補だったニュージーランドを破るなどして4位入賞の快挙を成し遂げた。
 同大会後、しばらくセブンズの舞台から離れていたが、東京オリンピックでのメダル獲得を目指して2019年7月に代表チーム復帰。しかし、2020年夏に予定されていた東京オリンピックは新型コロナウイルスの影響で1年延期となり、気持ちがついていかず、自ら挑戦を断念した。

 無尽蔵のスタミナで驚異的な運動量が頼もしかった。空中戦の核となり、タックルは勇敢で、密集の肉弾戦でも激しくファイトした。誇らしい“ギョウザ耳”は、チームのために体を張ってきた証である。プレーのモットーは「ひたむきに、がむしゃらに」。まさにそのとおりだった。

 セブンズの国際舞台で長年活躍しながら、国内では15人制でも奮闘し、2018年10月7日にはトップリーグでリーグ戦通算100試合出場を達成している。15人制日本代表にも選ばれたことがあり、2012年に3キャップを獲得。デビューはホームの福岡・レベルファイブスタジアムで、UAE代表を相手に2トライを記録している。

 桑水流裕策、偉大なラガーマンだった。

2014年の香港セブンズで力強く走り抜ける桑水流裕策(Photo: Getty Images)

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