国内 2021.04.24
27-24。リコーが「チーム一丸」で接戦勝ち切る。東芝は意地の追い上げ見せるも力負け

27-24。リコーが「チーム一丸」で接戦勝ち切る。東芝は意地の追い上げ見せるも力負け

[ 編集部 ]
キレのある走りを見せた東芝FB豊島翔平(撮影:高塩隆)

 ここから風向きが徐々に変わり始める。
 東芝をさらにポジティブにさせたのは、控えのメンバーだ。8分に加入3年目のPR藤野佑磨が登場。ピッチに入るや否やスタンド上段まで届く声でチームを鼓舞した。
「チームにエナジーを与えられるようなプレーをずっと心がけていました」(藤野)。

 ゲームキャプテンを務めたFLリーチ マイケルも「藤野はチームにかなりいい影響を与えてくれた。それは試合だけではなくて、練習でもチームにパッションを与えてくれる存在」と7つ下の後輩を称える。

 東芝は得意のラインアウトを起点に、21分はモール、24分にはWTBナイカブラがトライを奪って、17―20と3点差まで詰めた。

 逆転の機運が高まる中でターニングポイントになったのが、試合終盤35分ごろのスクラムだった。ゴール前まで迫った東芝だったが、5㍍スクラムでコラプシングの判定を受けた。「PRの一番仕事で自分がペナルティをしてしまって、東芝の流れを切ってしまった」とPR藤野は悔やむ。

 直後にリコーのFL松橋周平共同主将が値千金のジャッカルを決めて、まもなくSH山本昌太の勝負を決めるトライが決まった(27―17)。

 勝因となったスクラムについて神鳥監督は、「(フロントローの)若いメンバーが日々成長するスピードが加速している。3人は常にオープンマインドで、その姿勢がいまのパフォーマンスにつながっている」と語る。

 この日先発のフロントローは左から西和磨、武井日向、笹川大五。西は3年目で、武井・笹川は1年目のルーキーだった(ともに明大卒)。「(若い)自分たちが引っ張っていこう、くらいの気持ちで取り組んでいる」と武井。

 さらに神鳥監督が強調するのは、「日頃からスクラムで相手になっているベテランFWの選手たち」が若手3人の活躍に一躍買っていることだった。「彼らの力は欠かせない。チーム全体で作り上げている感じがします」。

 武井もそれに頷く。
「先輩たちがいろんなスキルを教えてくれる。わからないことがあれば自分たちも聞きにいくし、それに答えてくれるいい関係がある。それはフロントローだけではなく、全てのポジションにある」

 チーム一丸となって掴んだ接戦の勝利だった。

 リコーは5月9日(日)に大分・昭和電工ドームでサントリーと対戦する。

 一方敗れた東芝はシーズンが終了。リーチが最後にファンに感謝を述べる。
「思うような結果ではなかったけど、毎試合毎試合応援してくれたファンに感謝しています。自分たちも結果がついて来なくても、自分たちを曲げずに戦うことができた。選手たちをすごく誇りに思います。東芝には若くてポテンシャルの高い選手がたくさんいる。この経験を生かして、来シーズンまでに倍以上にレベルアップしていきたい」

モールで押し込むリコー(撮影:高塩隆)

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