【ラグリパWest】新しい場所、新しい挑戦。大向将也 [中部大学春日丘高校ラグビー部コーチ]
中部大春日丘は冬の花園に10回出た。
出だしの頃、「かすがおか、愛知県代表」と場内アナウンスされる。聖地のある大阪には、同じ漢字を当てる府立校がある。その創立は大正時代にさかのぼる。
「放送の方には、はるひがおか、って説明するのですが、本番は違った」
ラグビー部監督で国語科教員の宮地真(みやち・まこと)は苦笑する。
今ではそういうことはなくなった。3か月前の100回全国大会では初めて8強に進む。熊野、新潟工、大分東明を連破。準優勝する京都成章に3−14と敗れるも、積み重ねた強さは、その読みを関西でもなじみにさせる。
ジャージーの主色はオレンジ。そのチームに、この4月、新しいコーチが加わった。
大向将也(おおむかい・まさや)である。
「ここはすごく住みやすい。宮地先生やみなさんの助けがあって、ありがたいです」
大向は、春日丘に来るまで、母校の石見智翠館で9年、大学9連覇の帝京で1年のコーチ実績がある。キャリアは申し分ない。
宮地の顔はほころぶ。
「彼とは10年来のつきあいになります。指導はしっかりしている。このタイミングで来てくれてよかったです」
今年56歳。定年まで10年近くを残すが、オーバーラップを考え、後継者を探していた。決まりかけた人間はいたが、故障が出る。保健・体育教員も兼ねて大向を呼ぶためには、再度、条件を整える時間が必要だった。
その1年間のつなぎを岩出雅之が果たしてくれる。BKコーチとして預かる。宮地と岩出の関係は浅くはない。
姫野和樹は春日丘と帝京に学んだ。日本代表キャップ17のNO8は今、トップリーグのトヨタ自動車からスーパーラグビーのハイランダーズに戦いの場を変えている。
大向には妻・梓(あずさ)との間に中3を頭に、3人の子供がいる。大学など高等教育を考えれば、先立つものは相応にかかる。愛知に移ったのはそういう理由もある。
石見智翠館の監督である安藤哲治を含め、3人の指導者にはそれぞれ影響を受けた。