トップリーグチームに挑戦した清水建設。選手兼BKコーチ、40歳の鉄人・髙忠伸のスピリット
清水建設ブルーシャークスがトップリーグチームに挑戦した。
1976年創部。2018年度にトップチャレンジリーグに昇格したばかりの清水建設は、今季のトップチャレンジで4強入りを果たし、トップリーグ2021プレーオフ1回戦に進出した。
4月18日、たけびしスタジアム京都で対戦した相手は、トップリーグ所属の日野レッドドルフィンズ。プレーオフ参加20チームで唯一トップリーグ経験がない清水建設の挑戦だった。
「昨シーズンはトップチャレンジリーグで最下位。悔しい思いをしましたが、今年はフォーマットこそ違えど、ベスト4という一つの目標を達成できました。それが大きな財産になっています」
そう語るのは選手兼BKコーチのSO/FB髙忠伸。昨年9月13日に40歳を迎えた鉄人だ。
桐蔭学園から進んだ帝京大では主将を務め、中心選手として初の大学選手権ベスト4に貢献。2003年入団の日本IBMでは、3年目からチームの日本人として初めてプロ契約を結び、主将も務めた。2008年度には日本代表候補にも選出され、近鉄を経て、40歳となった今でもストイックに走り続ける。
2019年度はトップチャレンジリーグの5試合に15番で先発した。今季も豊田自動織機との順位決定戦にセンターで先発するなど、173センチ、83キロの体躯をフル稼働させた。
ラグビー部がない会社などからも選手募集をしているクラブチーム型の清水建設は、社員選手が多い。平日練習は基本的に週3回、夜7時30分から神奈川県横浜市の荏田にあるフルピッチの練習グラウンドで行われる。
40歳まで現役を続けるプロフェッショナルをして、社員選手の努力には驚かされるという。
「僕は社員ではありませんが、みんなすごいですよ。営業で各地を回っていて、『いま沖縄なんですけど、練習ちょっと遅れます』とか(笑)。練習が終わって帰宅して、ケアをして、早朝に現場に行っている選手もいる。仕事も100パーセント。ラグビーも100パーセント。そこは胸を張ってやっています」
社員選手は身体を休める時間は少ないぶん、どうしてもケガ人は多くなる傾向にあるという。しかしそれでも、髙には絶対に譲れない一線がある。
「(社員選手の)若い子達には『それを絶対に言い訳にするな』と言っています。やっていることに対しては胸を張っていいけれど、勝ち負けの世界です。イチラグビー選手同士のステージで勝負してほしい」
鉄人のスピリットは日々注入されている。清水建設にはそんな情熱に情熱で呼応する、ラグビーに懸ける男達がいる。
プレーオフ1回戦の日野戦では20−48で敗れたが、前半を6点リード(20−14)で折り返すなど善戦した。勝ち負けの世界で、ブルーシャークスは強い輝きを放っていた。