クレルモン アゼマHCインタビュー 「マツは真のアスリートだ」。欧州制覇へ、松島に期待。
―― そのために先週の合宿は役に立ちましたか。
「シーズン終盤の前にいい合宿ができた。ラグビーの面ではチームとしてまとまることができたし、各部門のディテールの大切さを確認した。チームで一緒に過ごすことができ、人間的な面でも結束できた。夜、一緒にトランプしたり、散歩したり、グラウンド外でのこういう時間が選手間のつながりをより強くしてくれる。これが最終的にチームの力につながる」
―― 今季はコロナでそういう機会が難しかった?
「グラウンド外で何かをする機会があまり持てなかった。試合に向かうバスの中だったり、試合の後でスタジアムで簡単な食事をとったりして、なんとかチームで共有できる機会を持とうとしてきた。この3日間の合宿で、みんなで一緒に食事をとり、一緒に時間を過ごすことができ、とても価値があった」
―― 心理的な面も考慮する。
「トレーニングの時とは少し違う関係を持つことで、スタッフや選手間でさらに良い関係が築ける。このグループはラグビー以外のことも一緒にできるのだと。僕自身もそうやって、選手やスタッフといい関係が築くことができる」
―― 松島幸太朗がクレルモンに着いた頃、定期的に個人面談をしていたと。
「マツはどちらかといえば控えめ、でもシャイではない。とても頭が良く、チームが目指しているラグビーをすぐに理解し、人のこともよく見えている。だからトップ14とは何か、何を期待されているのか、何が必要なのかを早い時点で理解し、フィジカルも適応させた。またシーズンを通じて安定したパフォーマンスをするためにはどうすればよいのかということも聞いてきた。そういう彼の質問からも、経験豊富な選手だとわかった。だからこそ、彼と協力していろいろなことに先回りして取り組むことができた」
―― 彼はチームに溶け込んでいますか。
「選手やスタッフととても良い関係を築いている。とても人懐こく、常にポジティブ。口数は多くないが、彼が発する言葉はいつも的確で鋭い。試合の準備をしてゆく中で、彼の発言はチーム内で重要に受け止められる。また彼はキックオフの笛が鳴ったら別人になる。マツは真のアスリートだ」
―― フランス語を話すようになりましたか。
「フランス語の授業は受けているよ。今はまだ使おうとはしないけど(笑)。チーム内に仲の良い友だちもできているから、そんなに時間はかからないだろう」
―― グラウンドでもチームに打ち解けてきているのが感じられますね。
「イキイキしているね。僕たちも、彼がこのチームでプレーしてくれることをとても喜んでいるし、彼のような気質の選手がチームにいることに誇りを感じている。彼の国のカルチャーを立派に体現しているよ」
―― 彼を発見したのはいつでしたか。
「彼がまだ若かった時、2015年のワールドカップ。その後、クラブチームでも代表チームでも、シーズンごとに成長していく彼の能力が目についた。そして2019年のワールドカップでは強烈な印象を残した。スピードのある選手を探していたが、それだけではない。ファイトするためのスキルとそれを実行する能力、またタックルゾーンやラック周りへのスピードもあり、キックもできる総合的な選手だ。さらにプレーから感じられる彼の気質が、この選手をリクルートしようという気持ちにさせた。周りとの呼吸もあってきて連係もスムーズになり、ますます彼の能力を感じる。今週末、ヨーロピアン・チャンピオンズカップの決勝トーナメントが始まるが、彼もワクワクしているのを感じる。試合のレベルが上がれば上がるほど、マツはのびのびプレーする。ますます力を発揮してくれるだろう」
初のヨーロッパ王者を目指すASMクレルモン・オーヴェルニュは4月3日、イングランドのコヴェントリーでおこなわれる決勝トーナメント1回戦(ラウンド・オブ・16)で、ワスプスと対戦する。