国内 2021.03.30

全国高校選抜大会4連覇へ王手の桐蔭学園 今野椋平副将は「ユーティリティ」目指す。

[ 向 風見也 ]
全国高校選抜大会4連覇へ王手の桐蔭学園 今野椋平副将は「ユーティリティ」目指す。
全国高校選抜大会の準決勝でディフェンスを突破しようとする桐蔭学園の今野椋平(撮影:長尾亜紀)


 冬の花園こと全国高校ラグビー大会で2連覇中の桐蔭学園は3月29日、2年ぶりに開催された全国高校選抜大会(選抜)の準決勝で大阪桐蔭に17-12で辛勝した。

 埼玉・熊谷ラグビー場でおこなわれる選抜は、1、2年生のみが出場する新人戦の最高峰大会。史上初の4連覇を目指す桐蔭学園はこの日、後半13分に10-12と勝ち越されるも、続く18分に逆転する。フィジカリティに長ける相手を制した。今野椋平副将はこうだ。

「5歩前に出る。3歩、下げられてもゲインライン(攻防の境界線)を切られない。それを意識していた。自分たちのテーマは『前に出る』だった。できていたところは、できていたと思います」
 
 昨冬の全国大会前にラグビーマガジン編集部が作った『第100回全国高校大会ガイド』によると、今野は「身長182センチ、体重84キロ」。国内では大型BKにあたり、この午後も12番で持ち前の推進力を活かす。

 前半6分。ハーフ線付近左中間で球を受けると、2人のタックラーの間へ切れ込み右にオフロードパスを放つ。

「1年生SO(大賀雅仁)に(試合運びに必要な情報を)伝える役割に加えて、身体が強いことを活かしてゲインラインを切る。2つ目の役割を持っています」

 背後には1年生FBの矢崎由高が待ち構えており、今野からパスを受け取るや軽やかに抜け出す。SHの小山田裕悟の先制トライを促し、直後のゴール成功でスコアは7-0となった。

 ちなみにゴールキックを決めたのも、チャンスメイクをした今野だった。続く20分には、ペナルティゴールで10-0と点差を広げている。ボールが動く間も、折を見て防御の裏へキック。硬軟織り交ぜパフォーマンスを印象付けた。

「大阪桐蔭のフィジカルが強いなか、1歩でも前に出ることを意識した。仲間がついてきてくれた。敵陣でプレーしたい思いもあった。由高や両WTBという外側の選手から(蹴るべきスペースに関する)コールもあって…」

 田園ラグビースクールを経て入った桐蔭学園中では、坂詰洋平監督から「ユーティリティプレーヤーになればいいじゃないか」と勧められ、その言葉にならってか、高校1年時からさまざまなポジションを経験する。

 入学時は最後尾のFBに挑み、2年時は司令塔のSO、タッチライン際のWTBへと順に転向。新チームが動き出すいまは、中学時代にプレーしていてもっとも「好き」というCTBで躍動している。

「今季はバイスキャプテンになった。これまでは積極性に欠けるところもあったんですが、これからは積極性を意識して、どんどんチームを引っ張っていければ」

 持ち前の推進力を活かし、仲間と頂点を味わいたい。

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