コラム
2021.03.30
【コラム】どこまで聞いても一部分
ラグビーは人間として一番大事なものを養成できる競技や——。
3月も暮れ、32年間にわたる教師生活をまさに終えようとしている名将がいる。
竹田寛行氏は奈良県立御所実業高校の監督として、常に全国トップレベルを争う名将だ。入道のようながっしりとした身体。日に焼けた帽子のつばの下に存在感のある眼。長靴をはいて、かつては土だったグラウンドでぬかるみに立つ姿が印象深い。
「こっちで火に当たってください。冷えるでしょう」
冬ならば暖を、照りつける夏空の下なら冷たいお茶を勧めて、グラウンドに現れる記者や関係者には穏やかに、いつもていねいに接してくださる姿にはこちらが恐縮してしまう。
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