コラム 2021.03.17
【ラグリパWest】変革の一年、始まる。 東海大大阪仰星高校

【ラグリパWest】変革の一年、始まる。 東海大大阪仰星高校

[ 鎮 勝也 ]



 部員たちの裁量を認めた上で、今年、テクニカルの中心に据えるのは「守り」である。湯浅は公言している。
「タックルできるやつがジャージーを着る」
 薄田にかじ取り役を任せたのも、その意志が透ける。180センチ、92キロのFLはハードヒットの大黒柱でもある。

 従来、「攻め」に軸足を置いていた仰星にとって、ここにも変化はある。
「アタックはみんな好き。やれますから。ディフェンスのところで力の差が出る」
 ワニと呼ばれる這い歩きやダブルタックル、そこからのジャッカルなど、3時間近い練習のすべてを守りに費やす日もある。

 その方向に向いたのも東福岡戦だ。
「ディフェンスは粘ったように見えますが、ボールを奪い返すまではいっていません」

 湯浅が親しみを込めて「ゆーいちろーさん」と呼ぶ敵将の藤田雄一郎は、この戦いを「もはや定期戦」と話したという。

 全国大会での通算対戦成績は仰星の5勝4敗1分。20回出場の半数で激戦は起こる。両校ともシード校のため、対戦は常に8強以上だ。決勝での顔合わせは3回。東福岡の優勝は仰星を1しのぐ6回。歴代4位の記録になる。紺×水色×白にジャージーにとって、モスグリーンからは幾多の学びがある。

 守備力を磨く仰星は、3月25日に開幕する22回目の選抜大会に出場する。目指すのは6大会ぶり3回目の優勝だ。
 1回戦は開志国際(新潟)、勝てば朝明(あさけ/三重)と日川(山梨)の勝者と対戦する。連勝すれば8強入り。今年はコロナの関係でトーナメントになった。

 選抜への出場を決める近畿大会は4位だった。コロナ疑いのため、4強戦を棄権した。前日2月19日、大会登録メンバー30人の保護者に陽性反応が出る。大阪桐蔭が不戦勝となった。優勝は常翔学園。その相手を34−17で退けた。

「近畿大会で試合をやれなかった分、チームの選抜へのモチベーションは高いです」
 そして、湯浅は続ける。
「どんなラグビーをするかではなく、どんな人とラグビーをするかだと思います」
 思考の尊重は、勝負師より、本来の保健・体育教員という教育者の部分に傾く。

 仰星は大会開幕の2日前、3月23日、決戦の地となる埼玉・熊谷に向け、東上する。


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