キヤノンが大熱戦勝ち切り今季初勝利!ホームのヤマハは大田尾氏の門出を勝利で祝えず。
水色に染まったヤマハスタジアムで、勝どきをあげたのは赤いジャージーだった。
トップリーグ2021の第4節は3月14日、ヤマハ発動機ジュビロがキヤノンイーグルスをホームに迎え、大熱戦が繰り広げられた。結果はキヤノンが40―32で嬉しい今季初勝利。終盤にシンビンで1人少ない状態になるも、なんとか逃げ切った。一方、ヤマハは試合終了5分前に連続トライを挙げて1点差まで詰めたが、最後は力尽きた。
◆試合後にはヤマハ発動機・大田尾竜彦氏の壮行会セレモニーが開かれた
先制トライはキヤノンだった。前半3分、CTBジェシー・クリエルのラインブレイクでいきなりチャンスを作ると、フェイズを重ねてSO田村優が大外へ飛ばしパスを放つ。最後はWTBエスピー・マレーがねじ込んだ。
ヤマハは7分に相手ボールスクラムでペナルティを獲得し、14分にはペナルティゴールで3点を加えるも、自陣からボールをつないでアタックを展開するキヤノンに対し、ペナルティを連発。トライを許して3―12とリードを広げられた。
その後もヤマハは自分たちのミスからリズムに乗れず、前半終了間際にドライビングモールでなんとか5点を加え、8―12で前半を折り返した。
後半立ち上がりにヤマハはさらに5点を追加。スクラムから逆転に成功した。
一方、優勢に試合を運べていたキヤノンがここから反撃に出る。9分、CTBクリエルがまた防御網を突破すると、最後もクリエルがタッチライン際で手を伸ばしてインゴールに置いた。
さらに13分にはSO田村の足技にSH荒井康植が好反応でそのままインゴールへ。直後に1本返されるが、すぐさまラインアウトを起点にここもCTBクリエルが内から抜け出したWTBエスピー・マレーのパスを受けてトライ。残り20分でこの日最大の15点差をつけた。
だがヤマハもホーム開催で黙ってなかった。終盤まで威力を誇る持ち前の運動量で、アタックを継続。キヤノンはそのプレッシャーに耐え切れず、32分には反則の繰り返しで1人シンビンに。33分、35分と一気に連続トライで32―33と1点差まで詰めた。
俄然燃えるヤマハだったが、交代で入ったキヤノンCTB三友良平がノックオンを誘うタックルでピンチを切り抜けると、もう一人交代選手、WTBホセア・サウマキがここぞの大働きを見せる。ミスマッチと分かれば大外を走り抜けてパントを上げると、敵陣深くで相手選手を止めてそのままジャッカル。WTBマイケル・ボンドの決勝トライにつなげた。
就任初勝利となった沢木敬介監督は「まだまだ下手くそですけど」と辛口を前置きした上で、「うちはどことやるにも、常に100%の準備で100%の力を出さないと、結果は出せない。今日は自分の持ってる力を100%出そうという努力は見えました」と評価した。キャプテンの田村も「今までと変わらず良い準備ができて、チーム全員が80分間それを信じてやれたので結果がついてきた」と喜んだ。
一方のヤマハは今季唯一のホーム戦を勝利で飾ることはできなかった。「いろんな思いの詰まったゲームだった」と堀川隆延監督。FB五郎丸歩にとっては最後のホームゲームで、大田尾竜彦コーチング・コーディネーター(CC)がチームに帯同する最後の試合だった。FB五郎丸歩は「勝ってみなさんに恩返しをしたかった」と悔やむ。
試合後には4月から早大ラグビー蹴球部の監督に就任する大田尾CCの壮行会が開かれた。清宮克幸氏や佐藤貴志氏ら元チームメイトなどからビデオメッセージが送られ、同期入団のPR山村亮から花束が渡された。
大田尾CCは「17年間でいい思いでも苦い思い出もたくさんあるけど、みんな輝いてた。早稲田に行っても学生たちを輝かせたい。次のステージでも頑張ってきます」と決意を明かした。