コラム 2021.02.16
【ラグリパWest】昼食バイキングで初制覇を。 京都成章高校

【ラグリパWest】昼食バイキングで初制覇を。 京都成章高校

[ 鎮 勝也 ]



 校内のグラウンドは人工芝ではあるが、70×63メートルと小さい。その地所を野球、ソフトボール、男女のラグビーと4つのクラブで譲り合いながら使っている。

 ひとつの隅には黒土が敷きつめられる。野球部は1998年、夏の甲子園で準優勝した。エース・松坂大輔(現・埼玉西武)を擁する横浜に0—3。この高校では、おおかた四半世紀前は楕円球より白球だった。

 その野球と同じ位置まで青黄ジャージーを引き上げたのは湯浅の力である。隣の亀岡出身の56歳は戦術研究や勧誘を続けた。

 創部は学校創立と同じ1986年(昭和61)。翌年、琉球大を卒業した湯浅が新卒の保健・体育教員として赴任する。4月で指導35年目。花園出場は7年連続13回とする。古都における最近の実績は、優勝4回の京都工学院を上回る。最高位は100回大会の準優勝。4強は3回ある。

 現在の部員数は86。新3年=45、新2年=41人である。ラグビーのみならず、生徒は大阪、兵庫などからも集まるため、通学時間を勘案して、始業は9時30分である。
 ラグビー部の主なOBは坂手淳史。HOとして日本代表キャップ21を持ち、パナソニックの主将もつとめる。

 準優勝メンバーは3年生が11人いた。193センチと大型LOの本橋拓馬は帝京大に、共同主将をつとめた宮尾昌典と辻野隼大のHB団は早大と京産大にそれぞれ進む。新チームでは昨年から定位置を確保していたHO長島幸汰やFB大島泰真らが軸になってくる。

 チームは新人戦にあたる近畿大会府予選決勝で洛北を64—0と完封する。
 72回目の近畿大会は2月13日の初戦で御所実を32−12、翌日は東海大大阪仰星に25—35で敗れた。結果、8強敗退の4チームと選抜大会への出場1枠を争うことになる。勝てば9回目の出場になる。

「アタックはみんな好き。それなりにできます。タックラーが出てくるかどうかですわ」
 そう話していた湯浅の危惧は現実になる。体の使い方を会得し、それを防御に落とし込む。35失点を抑えなければならない。

 450年ほど前、光秀は信長を倒し、天下をものにした。長短は関係なし。一度、獲れば、その名は後世に残ってゆく。

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