国内 2021.02.12

クボタの新人・藤原忍、田中史朗を見習い「強気」で攻める。

[ 向 風見也 ]
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クボタの新人・藤原忍、田中史朗を見習い「強気」で攻める。
オンライン取材に応じるクボタスピアーズの新人、藤原忍


 強調したのは、ライバルと憧れの存在への思いだった。

 今季の大学選手権で初優勝した天理大の藤原忍が2月10日、就職先でもあるクボタのラグビー部へ合流。オンライン会見で意気込みを語った。

「まだ身体が小さいので大きくしつつ、1年目からレギュラーで出るんだという気持ちを持ってやっていきたいです」

 普段は朗らかに話す身長171センチ、体重76キロのSHは、画面の向こうの記者団を前にやや緊張の面持ち。ランニングメニューなどをこなした午前の時間を「クラブハウスでは海外、日本の選手の方々がとてもフレンドリーに接してくれた」と総括し、日本代表入りへの期待にはこう応じた。

「まずはクボタで(先発SHの)9番を背負う。そこから日本代表で活躍できれば」

 藤原は大学シーズン終了から約1週間は休息し、6日に奈良県内のグラウンドで卒部式に参加。クボタに合流するまでの3日間は新型コロナウイルスに関するPCR検査実施のうえ、本拠地に近い千葉県内のホテルで隔離生活を送っていた。

 幼少期を大阪や岐阜で過ごし、高校時代は石川の日本航空高校石川の寮へ住んだ。関東地区に滞在するのは実質的には今回が初めて。検査結果が出るまで外出制限が課されるなか、言葉の本当の意味で部屋からほぼ出なかった。

「どこ行けばいいかわからないので。(今後は)ディズニーランドに行ってみたいです。一度も行ったことがないので」

 小学5年までは野球やバレーボールなどに親しみ、大阪の茨田北中へ入るやラグビー部の顧問に楕円球の道へ誘われた。

「そんなにやんちゃをしているなら、ラグビー部へ」

 大人になってその「やんちゃ」の詳細を問われれば、「授業中にどっか行ったり、そんな感じです」。広くない教室に収まらぬ元気を、人とぶつかり、ひたすら走るスポーツに活かした。

 高校1年目の終わりころには、攻撃を動かすSHを本職とした。

「パスとか、ずるがしこいことが好きなので、イケるなと思いました」

 天理大では1年時からレギュラーを張り、やがて競技活動で将来を切り開きたいと決心した。

「高校に行った時、大学までラグビーができているとは思わなかったです。大学2年生の頃から日本代表になりたいと思ったし、トップリーグに行きたい、もっと上でやりたいと思い始めました」

 意識したのは齋藤直人。昨季の早大主将として学生王者となったSHで、藤原にとってはジュニア・ジャパンで定位置を争った1学年上の好敵手だ。

「齋藤直人さんに負けたくないと思って。練習外でも、パスの飛距離、スピードを伸ばすトレーニングを意識してやっていました」

 憧れたのは田中史朗。日本代表として過去3度のワールドカップに出たSHで、日本人初のスーパーラグビープレーヤーとなった36歳だ。確かに、スクラムから球をさばく相手SHへ圧をかける藤原の姿は田中と重なるような。本人は言った。

「とにかくプレッシャーをかけようとしています。田中さんのプレーで特にまねしているものはないですが、強気で行くことは意識しています」

 クボタが加盟する国内トップリーグでは4月から出られる。現在、齋藤と田中はそれぞれサントリー、キヤノンに在籍。サントリーとクボタは4月3日の第6節で対戦予定だ(東京・秩父宮ラグビー場)。

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