コラム 2021.01.28
【ラグリパWest】ラグビー談義ができる角打ち。木下裕義酒店 [大阪市中央区] 

【ラグリパWest】ラグビー談義ができる角打ち。木下裕義酒店 [大阪市中央区] 

[ 鎮 勝也 ]
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 大将はワンダーフォーゲル部やった。
「尾根づたいに渡って行くのがワンゲルですわ。下から上が山岳部やね」
 その違いを教えてくれるで。槍や剣など難所を持つ山は軒並み制覇や。

 へー、山に興味がありはってんね?
「いや、コールフリューゲルという合唱のサークルに入ろうと思ってたんですわ。名前が似てて、部室を間違えて…」

 ラグビーにハマったのは清風の高校時代。1980年の早慶戦をテレビで見てからや。試合は16−16の引き分けやった。

「ラグビー部がなかったんもあるんでしょう。せやからよけいにね。ラグビーってスポーツの複合ですやん。相撲とサッカーを足したようなもの。色んな要素が入ってます」

 宝ものは1989年5月のスコットランド戦のビデオテープ。我らがジャパンは28−24で勝利する。ラグビー先進国である旧IRBの8か国から挙げた最初の白星になったんやね。

「ダビングして友達にばらまきましたわ。2015年の南ア戦と今回で色あせてしまったけど、僕はええ色あせ方やと思っています」

 前回のワールドカップでは南アフリカに34−32の金星を挙げ、次の日本開催では初の8強入りや。せやけど、大将にとって強い代表の原点は、あの蒸し暑かった32年前の秩父宮でのテストマッチやねんな。

 2019年は司令塔の優さまにしびれた。
「田村君の強気なところ、いいっすね。『南ア以外には勝てた』って言ったでしょう。その通り。僕もそう思ってましたもん」

 しかし、さみしさもある。
「同志社の子が誰ひとり入ってへん」
 大阪の人間として、天理の優勝はうれしい。「36年ぶりですよ」
 関西に覇権が帰ってくる。監督のセツオはんが後輩ちゅうことももちろん知ってる。せやけど願うのは紺グレの復活や。

 同志社を卒業して約5年して店に入る。その間はアサヒビールにつとめた。
「父と母に感謝です。よう、こんなええ店を残してくれた」
 これからどないしていきまっか?
「今のこのスタイルでどんだけ続けていけるか。挑戦ですわ」

 大将は言う。
「嫌な客でもラグビーの話が出てくれば、許します」
 みんな、楕円球情報を持って集合や。ほな、楽しく、安い酒を飲ませてくれはるし。

◆木下裕義酒店◆
■住所 〒540−0024 大阪市中央区南新町2−3−1
■電話 06−6941−1551
■営業時間 午後5時〜同11時。自粛要請期間中は8時に閉店
■定休日 日曜、祝日
■座席 26席ほど。4人掛けのテーブルが4つ、あとはカウンター
■予約 可能
■最寄り駅 大阪メトロの堺筋本町。1番出口から東北方向に徒歩6分ほど

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