国内 2021.01.09
きょう決勝。花園連覇狙う桐蔭、「楽しんで」成章

きょう決勝。花園連覇狙う桐蔭、「楽しんで」成章

 湯浅泰正監督は、チャレンジャーとしてのチームのアイデンティティをリラックスした雰囲気のなか話した。

「過去、多くの強豪チームを生んだ京都の代表ですが、あまり子供たちに対してそれを強調することはありません。自分たちらしいプレーが明日もできれば」(湯浅監督)

 監督歴34年目のベテランでありつつ、先達の指導者、チームに対してカウンターカルチャーを築くことで、自分たちの持ち味を磨いてきた自負がある。伝統のまち、京都の地でそれを貫いてきたのが興味深い。

「チームの原点はタックルです。伏見工業さんのような、突出したアタッキングラグビーをなんとか倒したいと考えているからだと思います。タックル、ディフェンスでならば、どうにか相手に対抗できるのではと思いやってきた。そのスタイルに確信をもてたのは、伏見さんを破って初めて全国大会に出た時でした」

 ディフェンスにおいては、「早い接点」を掲げる。

「早いとこ触っとく、ということを、軸に据えてきました」

 京都の中学生チームは、全国にあっても奇特なアタック能力を備えた存在だ。結束の固い京都の中学指導者たちは、日本のラグビーどころである大阪のパワアフルなスタイルに対抗するため、京都オンリーの個性を磨いてきた。その逸材たちが集まる京都強豪の高校の攻撃センスは素晴らしい。京都の高校シーンで新興チームが芽を拭くには、ディフェンスしかなかった。

 成章には、いわば、全国に出るまでに蓄えた強靭な足腰がある(桐蔭学園もかつては相模台工という全国強豪に県内で鍛えられた)。

「高いアタック能力を持つチームに勝つには、ディフェンスが早い接点を求めることが大切。早く触るとはそういうことです。相手が10の力を持つなら、勢いがつく前にまず接点を取りにいく。相手の力が7や6になった瞬間なら、うちでも勝負ができる可能性が出てくる」(湯浅監督・12月上旬)

 府下の戦いを想定したロジックは、そのままきょうの桐蔭学園戦にも当てはまる。

 京都成章は今年、試合中の主体的な意思決定とコミュニケーションに積極的に取り組んできた。その理由は、昨年敗退時にその力不足を強く感じたからだ。昨春、感染第一波時のオンラインのセッションは、その上で有効に使うことができたという。

 準決勝後は、選手たちをいったん自宅に戻す予定を変更、感染リスクを鑑みて外出禁止とした(※)。湯浅監督自身はこの3日間に、盟友でもある御所実・竹田寛行監督と連絡を取っている。決勝4度の経験を持つ竹田監督に多くを学んでいるはずだが、そこは秘中の秘だろう。

「竹田先生ですか。ラインと電話が来ましたね。内容は、楽しんでやーとのことでした」

 桐蔭連覇か、成章の初登頂か。キックオフの笛を待とう。

※事実関係の誤りを修正しました


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