強豪同士の初戦を制した。御所実の安田昂平は「プレッシャーとかは、あまり感じない」。
黒の壁は厚かった。全国高校ラグビー大会で昨季準優勝の御所実が登場したのは12月28日。大阪・東大阪市花園ラグビー場は第2グラウンドで、報徳学園に挑む。
1回戦屈指の好カードと目された一戦。御所実は向こうのロータックルを前にミスを重ねた。前半9分にペナルティゴールで先制も、ハーフタイム直前までは3-0と膠着状態だ。
裏を返せば、御所実の守りが報徳学園の反攻を防いだ。相手の接点へ素早く絡み、何度も報徳学園のノット・リリース・ザ・ボール(寝たまま球を手放さない反則)を誘う。
10-0で迎えた後半11分頃には、自陣ゴール前左でNO8の蓑洞功志がその形を繰り出す。相手のゲーム主将であるPRの西崎海人の突進を味方が止めると、その地点へ腕を差し込む。
御所実FW陣は間もなく、自陣中盤左の自軍ラインアウトからモールを作る。左脇をSHの登根大斗がえぐる。
敵陣ではいったんスローペースでフェーズを重ね、一転、ピック&ゴーの連続で22メートルエリアへ侵入する。粘る報徳学園に対し、鋭くコンタクトを打ち込む。
最後はWTBの生田弦己がフィニッシュ。17-0と勝利を引き寄せた。タフな守りの連続を、右PRの小林龍司が笑って振り返る。
「僕自身は、緊張していて、(最後は)バテバテでした」
結局、互いに点を取り合う形で24-5とノーサイドを迎える。SOの安田昂平もうなづく。
「ミーティングなどで報徳学園の試合を観させていただいて、自分たちのやってきたことをかみ合わせて試合に臨みました」
第100回大会となる今季の全国大会では、出場校が史上最多の63校にのぼる。1回戦免除のシード権が与えられたのは東海大仰星のみで、昨季まで長らく2回戦から出場の御所実も初戦から挑むこととなった。
特に今度の1回戦は、通常の30分ハーフよりも計10分短い25分ハーフで開かれる。スタンドにいるのは関係者のみ。安田はこうだ。
「去年もシード校として30日から試合をさせてもらったんですが、今年はまた違う感じでできた。無観客なんですけど、その分、皆の声が聞こえた。30分が25分になるだけでも全然違って、主導権(を握るのが大事)。PG(ペナルティゴール)で先制できたのは、次に向けてもよかったと思います」
昨季WTBとして活躍した好ランナーの安田は、大会屈指の注目選手の1人。この午後も相手ベンチから「10番、ラック裏にいる!」「安田! 安田!」と声が出て、徹底マークされていた様子だ。
当の本人の実感は。
「いつも通りのプレーができたらいいかなと。プレッシャーとかは、あまり感じなかったです」
30日の2回戦では國學院栃木に挑む。いつでも変わらないという名の強さを示す。
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